城壁の再建工事が、着々と進んでいました。敵たちの武力による介入も、ネヘミヤらの自衛組織の結成により未然に防がれました。そのような状況の中、サヌバラテやトビヤたちは、使いをよこして、ネヘミヤを工事の現場から引き出そうとしました。しかしネヘミヤは「私は大工事をしているから、下ってはいけない」と言って、彼らの誘いを断り続けました。5度目には、若い者の手に託して、開封した書状をネヘミヤのところへ持ってきました。そこには、謀反の疑いがある、という内容でした。それに対して、ネヘミヤは人を介して「あなたが言っているようなことはなされていない。あなたは、そのことを自分勝手に考え出したのだ」と返答しました。さらに、彼らはユダヤ人の内部のものたちを買収して、ネヘミヤを失脚させようとしました。その中には、女預言者も含まれていました。そのようなことはありましたが、52日目に、城壁は完成しました。残念ながら、ユダヤ人の中に、しかも指導的な立場にある人たちの中に、敵であるトビヤと縁組を結んだり、トビヤと通じている者たちの勢力が大きかったのです。彼らはトビヤの善行をかたり、ネヘミヤの考えを変えようと画策していました。しかし、城壁の再建が完成したので、トビヤたちは、大いに面目を失いました。これは主の働きであることが明らかにされたからです。
今日の個所では、「話し合い」に誘うトビヤに対して、ネヘミヤは、徹頭徹尾、断り続けました。これも勇気のいることです。話し合いというと、誰しもが、応じないといけない、という雰囲気があります。平和的な解決の糸口である、と信じているからです。しかし、時には、それが陰謀のひとつの手段という場合もあります。「霊的識別力」の賜物が必要です。ネヘミヤは、その識別力により、正しく判断して、その誘いに乗りませんでした。しかし、今日の6章の最後に記してあるように、話し合いという誘惑のなかに引きずり込まれたものたちが、ユダの民の中に、「大ぜいいた」(18節)のです。城壁は完成しても、じつは、内部の問題は残されていたのです。教会の中でも、「話し合い」ということで、本来、なすべきことが出来ず、無益な時間の過ごし方をする恐れもあります。また、不信仰な交わりに引きずり込まれる恐れもあます。私たちに、何をすべきか、優先順位を正しく判断できる、ネヘミヤのような霊的識別力の賜物を与えて下さい。清宣教師