前の30章と同じように、この31章もソロモンの箴言ではありません。マサの王レムエルが母から受けたことばです。これはまさに、ソロモン王のことを念頭においた戒めのことばのように思われます。ソロモン王は、700人の王妃としての妻と300人のそばめをもっていたことが知られています(第1、列王記11章3節)。まさに、ソロモン王は、女性との関係において、王のなすべき務めも疎かになっていたと思われます。「あなたの力を女に費やすな。」ということばは、王の母から王に対する戒めとしてはピッタリです。さらに、王として注意すべき事柄として、酒の奴隷にならないように(4節~7節)、障害者や不幸な人たちに心を配ること(8節)、また、正しい裁判をすること(9節)を挙げています。これは王の母の願いですが、まさに、天の父なる神の願いであるとも言えます。さて、10節~31節には、賢い妻について述べられています。これがレムエル王の母の戒めの続きなのかどうかは、明確ではないようです。いずれにせよ、箴言の編集者は、箴言の最後を飾るものとして、理想的な女性像を語りたかったのですね。天地万物の創世の時から、人類に対する最大の祝福は、理想的な妻のいる家庭、あるいは理想的な母のいる家庭であると、箴言の編集者が考えていたことを示しています。なお、この部分は、聖書の原文では、「いろは歌」(それぞれの行の最初のことばがアルファベットの順になっている)になっています。つまり、誰でも、暗記して歌えるように工夫されています。
話は変わりますが、今から102年前のちょうど今日、1920年4月26日、米国科学アカデミーでは白熱した議論がなされていました。それは二人の天文学者が宇宙の大きさについて討論し、特に夜空の神秘的な渦巻き状の光の距離に関するものでした。一人の天文学者はガス雲の近くにある光であると主張しました。もう一人の天文学者、それは深遠な宇宙空間の星々の群れであり、より遠方の銀河であると主張しました。それから5年後、カリフォルニアにある新ウィルソン天文台の望遠鏡の観測により、その渦巻き状の光は、遠方にある巨大な銀河であることが明らかになりました。これらの遠方の銀河は、それぞれ100億もの星を有し、無数の小島のように宇宙に拡がっているのです。さて、今日の箴言31章のテーマは、宇宙という創造主の作品の中心にある家族、その家庭の中での妻の存在感です。清宣教師