今日は、いよいよ最終章です。
新妻(1節―4節):1節は、兄弟同士での口づけは日常茶飯事であるが、外での夫婦同士の口づけはさげすまれてしまう。もし私たちが兄弟同士であれば、いつでも、どこでも口づけできたのに、という新妻のことばである。妻は夫を、自分の案内で自分の母の家に行き、そこでもてなしたいと言います。これは女性にとって最高度の表現です(2節)。そして、母がしてくれたように、「香料を混ぜたぶどう酒」や「ざくろの果汁」を振る舞い、夫をもてなしたいのです(2節)。妻は自分のルーツを深いレベルで語り、夫もまた尊敬を払って聞いてくれたので、その信頼の深まった夫に抱いて欲しいと願いました(3節)。そして、そっと愛を見守って欲しいと、雅歌全体を貫くテーマが繰り返されています(4節)。4節は、ヘブル語の原語から別訳が可能です。それは、「なぜ、揺り動かしたり、掻き立てたりするのですか?」という意味です。もうすでに、私たちは、もう愛に目覚めているのに、いまさら、揺り起こしたり、掻き立てたりするのですか?ということになります。
合唱隊(5節):「荒野から上ってくる人は誰でしょう」、コーラス隊の歌と考えられます。新婚の夫と新妻が寄り添いながら荒野から近づいてくる。実家の庭のリンゴの木の下、あなたの母があなたのため産みの苦しみをしたところで、不思議にも、今度は、新妻がこどもを産もうとしている。
新妻(6節―7節):6節、封印とは印章であり、実印のように大事な物なので肌身離さず、首からぶら下げて胸のところにあった。その印章のように、わたしはあなたの胸にとどまっていたい。愛は死のように強い。その燃え上がる炎は大水も洪水も消すことが出来ない。もし、財産でそれを得ようとするなら蔑みしか得られない。ここは、愛が最高潮に達した箇所です。フルオーケストラでフォルテッシモで演奏される場面です。
新妻と兄弟たち(8節-9節):時間的には、新妻がまだ幼いころの光景である。父親が早くなくなったのであろう。兄たちが妹(現在の新妻)のことを心配している。大丈夫だろうか。結婚できるだろうか。妹が結婚するまで純潔を保つことが出来るように、私たち(兄たち)が妹を守るものとなる。…続く