モアブという国は、南ユダ王国の東の方、死海を隔てて隣の国です。もともと、アブラハムの甥のロトとその娘から始まった国です。そういう意味では、イスラエルとは親戚同士ですが、イスラエルの国は、モアブに対して友好的に交わろうとしましたが、モアブはそれを拒否して、イスラエルに敵対してきました(例外的にルツの時代は、友好関係にあったようです)。それで、モアブ人は、「主の集会に加わってはならない」と律法に記されています(申命記23章3節)。この15章では、預言者イザヤは、モアブに対して「ああ」という嘆きのことばで預言をしています。モアブという国は、南ユダ王国にとって敵国のような状況でしたが、イザヤはモアブの滅亡の預言を喜びながらではなく、心からの悲しみをもって預言しています(15章3節、16章9節参照)。どうやら、イザヤは主からの幻の中で、あまりの悲惨な状況を目の当たりに見て、悲しみを禁じ得なかったようです。町の名前が出てきますが、明確には特定は出来ませんが、モアブの北部の町(アル)、南部の町(キル、ヘシュボン、ツォアル)へと、北の方から敵が侵入してきている様を描いています。
さて、今年はウクライナへのロシアの一方的な侵攻が始まりました。プーチン大統領は、力による支配を目指して、巧みな情報統制によりロシア国民の心を操作してウクライナへの侵攻を正当化しています。隣国の中国も軍事大国としての力を誇示して香港の民主的な政治を弾圧し、さらには台湾や近隣諸国への力による支配が目立つなど、次々と、不安なニュースが流れてきます。一方、イスラエルでは日常的にテロ事件が勃発しています。
創造主はもともと、地球上にひとつの神の家族を形成することを目的として、アダムとエバを創造されました。そして、神の御子イエス・キリストが永遠の平和を打ち立てるために、この地に人となられて、十字架の上で全人類の罪を贖われました。しかし、サタンは、つねに人類の歴史を通じて、人類の背後から破壊と滅びをもたらそうとして暗躍しています。
今日の聖書箇所から教えられることは、歴史を通じて働くサタンの企みです。サタンの企みが打ち砕かれて、平和が訪れるように、全世界の諸教会の聖徒たちが祈っていることを覚えて、私たち日本のクリスチャンも、共に、祈りましょう。
清宣教師