今日の49章では、アモン人、次いでエドムについて、・・・最後にエラムについて、それぞれ神の審判の預言が記されています。今日の最初に登場するアモン人は、イスラエルの父祖であるアブラハムの甥のロトの子孫です。その次に登場するエドムは、アブラハムの孫にあたります。このように、イスラエルといわば親戚関係にあたる国々への裁きの預言から始まります。その後のダマスコやケダルやハツォルやエラムは、地理的にイスラエルの周辺国にあたるのでリストアップされています。1節―6節は、アモン人についての裁きの預言です。「イスラエルには子がいないのか」(1節)ということばで始まりますが、おそらく、これはアモン人がイスラエルの12部族のうち、ヨルダン川の東岸に位置していたガド族やルベン族の領土の一部を占領したことを責めていると思われます。つまり、あたかもガドやルベンには世継ぎがいないかのように、アモン人の王がガドやルベンの領地を所有してしまったのです。それで、主なる神は、アモン人を裁くと宣言されています。しかし、終わりの日には、アモン人の繁栄を元通りにするという回復の約束も与えられました(6節)。7節―22節は、エドムに対する裁きの預言です。エドムはイスラエルと兄弟関係にありましたが、主権者である神を認めないので、裁きを受けます。テマン(7節)は昔から知恵で有名であったようです。デダン(8節)はエドムの国の南部の地方の事です。ボツラ(13節)は、当時のエドムの首都でした。22節の「鷲」とは、ネブカデレザルなのか、どうか、ここでは明確ではありませんが、神の裁きを実行する器として用いられる者をさしています。23節―27節は、ダマスコについての裁きの預言です。ダマスコはイスラエルの北方の国、アラム(別名シリヤ)の首都です。シリヤの諸都市(ハマテやアルパデ)は、敵の手によって占領され、ダマスコにあるシリヤの王ベン・ハダテの王宮も焼かれてしまいます。実際、アッシリヤによって攻撃を受けて、ベン・ハダテの王朝は滅びました。28節―33節はケダルとハツォルについての裁きの預言です。ケダルはパレスチナの東方にある古い町であり、その起源は、アブラハムの側室の子のイシュマエルにまでさかのぼります(創世記25章13節)。「ハツォルの王国」(28節)と記されていますが、ヘブル語の原語では、王国は複数形です。つまり、地方に点在する部族の集まりのようです。「そこにはとびらもなく、かんぬきもなく」(31節)という表現、あるいは「こめかみを刈り上げている」(32節)という表現からも、ベドウィン的な遊牧民の生活をしていたようです。そこは人も住まなくなるほどに滅ぼされると預言されています(33節)。ただ、現在、それがどの場所であったかは定かではありません。34節―39節は、エラムについての預言です。エラムはティグリス川の流域、特にその東側の地域を指しますが、その王国の勢力範囲については、資料がなく、不明です。ただ、エラム人は、昔から弓術にたけていたようです。この国もやがて亡びるのですが、終わりの日には、「エラムの繁栄を元通りにする」という約束が加えられています(39節)。
今日の聖書箇所は、創造主は、公義と正義をもって、地上の歴史に介入されることを示しています。アーメン。清宣教師