ダニエル書は12章から成り立っていますが、1章から6章までが第1部で、ダニエルに関する歴史が記されています。7章から12章までは第2部で、ダニエルが見た幻が記されています。この第2部は、第1の幻（7章）、第2の幻（8章）、第3の幻（9章）、第4の幻（10章―12章）となっています。私たちは、1日1章ずつ、ダニエル書を読んでいくわけですが、実際には、これらの幻は数日の間に与えられたのではなく、それぞれの幻は、数年の間隔を経て、ダニエルに与えられたものです。第1の幻は紀元前553年、第2の幻は紀元前551年、第3の幻は紀元前539年、第4の幻は紀元前536年に与えられたと考えられています。つまり、ダニエルの生涯の折々に、この幻が示されたということです。私たちの人生においても、主は人生の節目節目で必要な幻を与えられるのだと思います。
さて、ダニエル書7章で、ダニエルはペルシャツァル王の元年に寝床で幻を見ました。5章ではペルシャツァル王の最期を記していますが、この7章は、元年ですから、即位した年のことです。つまり、時間的には5章の前の出来事です。ここまでは、ネブカデネザル王様が見た夢などについての解き明かしの任務がダニエルに与えられてきましたが、ここでは、ダニエル自身が見た幻について記しています。15節では、ダニエルはこの幻を覚えてはいましたが、何を意味しているのかが分からなくて、大いに悩んでいたようです。そこで、ダニエルは、天の御使いの一人に尋ねました（16節）。そうすると天の御使いが解き明かしをしてくれました（16節）。ダニエルがその幻の内容を教えてもらった時、ダニエルは、ひどくおびえ、顔色が変わりました（28節）。さらに、もっと深く、その内容について理解しようと思い、ダニエルはその解き明かしを心に留めておきました（28節）。どんな幻だったのでしょうか？　2節―14節です。2－4節、大海あるいは「海」とは波が逆巻く不安定なものです。それで、「海」は多くの場合、「民」、「多くの群衆」、あるいは「人類」を表すものとして用いられます。大きな「獣」とは、地から起こる王を表しています（17節参照）。第1の獣は百獣の王、ライオンのようでした。鷲は鳥の王様です。あの純金の頭として示された第1の帝国です（2章38節参照）。翼を抜き取られるとは、ネブカデネザルが理性を奪われたこと、しかし、再び、人間の心を与えられました（4章34節参照）。次回に続く。