今日からヨナ書に入りました。ある注解者は、この1章の表題を「逃亡者を追跡する神」と名付けました。主人公の預言者ヨナは、主の任命に応えるためではなく、主の命令と使命から逃れるために、北イスラエル王国の丘陵地帯から、地中海に面した港町に急いでいました。
イエス様が育ったナザレの村から、北東5キロメートルのガテ・へフェルの村にアミタイの子、ヨナが生まれました。ヨナは北イスラエル王国の預言者として活躍しました。ヨナは、ヤロブアム2世が領土を拡張して、ダビデやソロモン時代の繁栄を取り戻すことを預言しましたが、その通りに成就しました。そういう意味では、王からも国民からも認められていた有名な預言者だったようです(列王記、第2、14章25節参照)。
ところが、ある時、ヨナはアッシリヤ帝国の首都、東の果てのニネべの町へ行き、悔い改めのメッセージをするように主から命じられました。しかし、イスラエルの脅威であるアッシリヤが滅びることを願うヨナは、主の命令を嫌って、東の果てにあるニネべとは正反対の西の果て(タルシシュ)に逃げようと計画しました。それで、地中海に面した港町ヨッパへ下りました。すると、ちょうど、タルシシュ(現在のスペインにある町)行の船がそこにいました。「しめた」と思って、ヨナは、船賃を払って乗り込みました。それが、きょうの1章1節~3節です。
ところが、ところが、そう思ったようにはいきませんでした。長年の経験がある船長でさえ、危険を感じ、観念するほどの未曽有の嵐に襲われました。船は木の葉のように、上に下に、揺り動かされました。水夫たちが解決策として、大事な船荷までも海に捨て始めました。それでも嵐はやまず、この嵐は誰のせいか、くじ引きをしました。すると、ヨナにあたりました。人々は、ヨナを問い詰めたので、結局、ヨナは隠し通すことが出来ずに、天と地の創造主の使命を放棄して、逃げようとしていることを、人々の前に告白することになりました。そこで、ヨナは初めて覚悟を決めて、自分を海に投げ込むように言いました。それでも、船に乗っている人たちは、すぐには従わないで、なんとか、ヨナを助けようとしました。しかし、嵐はひどくなるばかりで、もう助かる見込みはない、という状況で、ヨナを海に投げ込みました。すると、海が静かになりました。
一方、神はヨナのために、海の底に、大きな魚をあらかじめ待機させて、ヨナを大魚の中で、保護しました。三日三晩、大魚の腹の中に、預言者ヨナは閉じ込められることになりました。
清宣教師