前の1章の最後に、「草は枯れ、花は散る。しかし、主のことばは永遠に変わることがない」ということばで、ローマ帝国の一時的な繁栄に対して、福音の永遠性が示されていました。2章に入ると、捨てること、得ること、という二つの相反することばで、信仰の鉄則を伝えています。捨てるにしても、得るにしても、何かの基準があってのことです。目に見える大ローマ帝国の価値観に立つのか、それとも永遠に朽ちることのない福音の価値観に立つのか、というふたつの基盤の選択です。クリスチャンは「すでに主がいつくしみ深い方であることを味わっている」のですから、福音に立って取捨選択すべきです。まず、すべての悪意、すべてのごまかし、いろいろな偽善やねたみ、すべての悪口を捨てることです。そして、生まれたばかりの乳飲み子のように、純粋な、みことばの乳を慕い求めることです。私たちは、生ける石であるキリストを礎石として建てられた教会の生ける石のひとつとして召されたのです。そこで、大祭司であるイエスにならって、聖なる祭司として神に仕える者となることです。私たちは「選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民」です。私たちは世界に対して、すばらしい神の福音を伝えるために召されたのです(1節~10節)。次に、11節~17節において、「愛する者たちよ」と呼びかけています。神に召されたものとして、私たちが信仰の戦いに備えるように命じています。まずは、自分自身との戦いです。「たましいに戦いをいどむ肉の欲を遠ざけなさい」。また、社会の一員として、「異邦人の中にあって、りっぱにふるまいなさい」と命じられています。価値観の異なる人々の間にあって、立派にふるまうとは、神の栄光をあらわす生活をするということです。また、国民としては、「人の立てたすべての制度に、主のゆえに従いなさい」と命じています。バビロンもローマ帝国も滅び行くもので永久不変のものではありません。しかし、そのうえでなお、この地上では、自分たちは寄留者であり、旅人であるという自覚のもとに、国家的に権威をもつものに従うように勧めています。18節以降、ローマ帝国の社会の中で、クリスチャンとして生きるための具合的な指針を述べています。まず、しもべ(奴隷)としての生き方です。その模範は主キリストである、とペテロは言います。ですから、「キリストも、あなたがたのために苦しみを受け、その足跡に従うようにと、あなたがたに模範を残されました。」と記しています。キリストは主でおられ、何の罪も、何の偽りも犯されなかったにもかかわらず、人々からののしられても、ののしり返さず、苦しめられても、おどすことをせず、正しくさばかれる方にお任せになるという模範を残されました。ですから、「しもべたちよ。尊敬の心を込めて主人に従いなさい」と勧めています。たしかに不当な苦しみを受けることがあるかもしれません。しかし、主イエス様も不当な苦しみを耐えられたのです。主イエス様のことを覚えて、神の前に耐え忍ぶならそれは主によって喜ばれることなのです。善を行っていて苦しみを受け、それを耐え忍ぶとしたら、それは、神に喜ばれることです。キリストの生涯を思い出してみてください。「キリストは罪を犯したことがなく、その口に何の偽りも見いだされませんでした。 ののしられても、ののしり返さず、苦しめられても、おどすことをせず、正しくさばかれる方にお任せになりました。それによって、私たちは救われ、キリストの打ち傷のゆえに、私たちはいやされたのです。あなたがたは、神の摂理の中で、キリストの模範にならって花を咲かせ、実を結ぶことができる所に置かれているのです。あなたはその場所で神の前に価値ある生き方が出来るのです。
さあ、救いの創始者であり完成者である主イエス様を見上げよう!
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