「全地は一つのことば、一つの話しことばであった。」(1節)。本来、全人類は、ことばの障壁がなく、ひとつの家族としてひとつの心を分かち合う存在でした。そして、2節で、「定住した」と記されています。放浪の生活、住所不定の生活は不安定でした。しかし、主の導きによりついに定住することができる平地を見つけました。彼らは、ホッとしたに違いありません。これらのことはみな、神の恵みによるものでした。一つのことばで、ひとつの話し言葉で、相互に理解することが出来ました。しかも、定住する地を与えられたのです。これは神様の祝福でした。しかし、人々はこれを呪いに変えてしまうのです。なんと、人間は、神様の恵みや祝福を災いや呪いに変えてしまうことがあるのです。いえ、しばしば、人間はそのような過ちを犯してしまうものです。一つことば、一つの話しことばを用いて、大都市を建設しようとします。天にまで届く塔を建てて、そこにみんなで住まおうという計画です。その首謀者は、10章8節~12節で紹介されている地上初の権力者(独裁者)ニムロデでした。シヌアルの地(11章2節)のバベルの町でした。ハムの子孫であるニムロデが絶大な軍事力を持ち、セム系の創造主を敬う人たちは、反抗する手段もなかったようです。ニムロデは、当時の最先端の技術と豊富な労働力を用いて、町の中心部に巨大な塔を建設し始めました。おそらく、当時の考古学的な発見などを参考にすると、その最上階には、サタン礼拝の礼拝堂が設計されていたと考えられます。これは神の御計画に真っ向から逆らうものでした。神の御計画は祝福の一環として、人々が全地に拡がり、神の家族が増えることでした。ところが、人々は、「われわれが全地に散らされるといけないから」ということで一致して、神の計画に逆らったのです。神の恵みと祝福を、神に逆らうために利用したのです。だから、裁きを受けることになりました。しかし、今回は大洪水による滅びではなく(神は、9章11節の約束を守られました)、彼らのことばが互いに通じなくなりました。お互いに、意志を通じることが出来なくなりました。こうして、彼等は仕方なくでしたが、巨大な塔の建設をあきらめ、さらに、全地に散らされました。民族や国々や氏族によって異なることばで話すようになったのです。これは神の介入による人間の計画の停止でした。この停止すらも、神の憐みによるものでした。さらに、巨悪へと進むことを、一時的に、ストップされたのです。このあと、10節~26節において、神のご計画の軸であるセム系の子孫の系図が記されています。その寿命は段階的に短くなっていることが読み取れます。これは神の裁きによるものと思われます。しかし、これも神様からの憐みによる警告であると考えられます。つまり、数百年もの間、悪にみちた人生を送るのではなく、世代交代を通して、悔い改めて、主に立ち返るチャンスを与えて下さっているように思います。神様は裁きを、私たちが考え直すチャンスとして与えられているのです。27節~32節において、神の御計画が浮かび上がってきます。混乱の中から正しい秩序を回復する計画が始動しているのです。神は、アブラハムとその父テラを選び出されました。ところが、テラは、目的地に着くことなく途中のハランという町で安心して留まってしまいました。そしてそこで死を迎えました。このような人を、「ハラン信者」と呼ぶそうです。神様によって召されたのに、途中で満足して、目的地に入ることが出来なかった人たちです。
私たちは、ハラン信者ではなく、神の子供たちとして、神のかたちに似るという目標を目指して、きょうも、ひたむきに前に向かって進みましょう。
主は私たちの造り主、救い主、永遠の主です!
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