1節~20節:冒頭、サラの一生は127年であったことが記されています。その書き方は、「サラの一生、サラが生きた年数は127年であった」となっています。「サラの一生」のことを、「サラが生きた年数」と、わざわざ、説明を加えています。一生というのは、その人が生きた年数のことであり、そこにはさまざまな出来事が含まれています。「生きた」ということは、そこに必ず、悲しみも喜びも、幸せな時期も、苦労した時期も含まれます。この地上におけるサラの127年の人生は、幸せな人生だったのでしょうか?
神の人モーセは、祈りの中で次のように語っています。「私たちの齢は70年。健やかであっても80年。しかも、その誇りとするところは労苦と災いです。それは早く過ぎ去り、私たちも飛び去るのです。」(詩篇90篇10節)。いかにも、私たちの時代にも共通するような内容の詩ですね。どちらかというと、生きているということは、労苦と災いではないかということが強調されています。労苦も災いも経験しない人生は、むしろ、例外的な人生であることを示唆しているようにも思われます。
さて、ここで覚えておかなければならない確かなことは、アブラハムもサラも、彼らは決して地上での生活をもってすべてとしたのではないということです。それは、新約聖書の中に、はっきり、記されています。アブラハムやサラの人生とは、どのようなものであったか、アブラハムとサラの名前を挙げて説明を加えています。へブル書11章8節~19節です。その中で、「彼等は、さらにすぐれた故郷、すなわち天の故郷に憧れていたのです。それゆえ、神は彼らの神と呼ばれることを恥となさいませんでした。事実、神は彼らのために都を用意しておられました。」(へブル書11章16節)。「これらの人々はみな信仰の人々として死にました。・・・地上では旅人であり寄留者であることを告白していたのです。」(へブル書11章13節)と記されています。
この地上だけの人生を取り上げたら、それが幸せな人生であったか、不幸せな人生であったかを断言することは難しいです。しかし、天の御国を故郷として生きている人の人生は、幸せな人生であると断言できます。人生とは、この地上で終わるのではなく、天の御国の人生に続くものだからです。
2節には、「アブラハムは来てサラのために嘆き、泣いた」と非常に短い言葉で記されていますが、深い嘆きであったに違いありません。天の御国での再会があるとはいっても、この地上での別離は深い悲しみでした。「それから」と記されていますが、どのくらいの期間であったかはわかりません。アブラハムは、その死者(サラの遺体)のそばから立ち上がりました。そして、サラの遺体を葬るための場所を得るために行動を起こしました。3節から20節まで、墓地を取得するまでの細かい経緯が記されています。アブラハムたちは、その土地の住民たちのなかに居留している異国人でした(23章4節)。それゆえに、墓地を手に入れることにも、多くの手続きを必要としました。所有者たちは明らかに優位に立っていました。それで、いかにも謙遜な申し出をしていますが、実際には、銀貨400枚という法外な値段をふっかけておきながら、「銀貨400枚なら、私とあなたとの間では、何ほどのこともないでしょう」と申し出ました。
外国の地に居留している異国人にとって、土地を得ることは並大抵のことではなかったと思われます。神様は、アブラハムに対して、このカナンの地を与えると約束されましたが、アブラハムの生きている間には実現しませんでした。しかし、サラの死によって、マクペラの墓を私有の土地として、手に入れることが出来ました。それは数十坪に過ぎなかったと思われます。しかし、ここから、神の約束は実現に向かって、スタートしたのです。
私たちも、天の御国を故郷とする神の民です。日々の生活において、具体的にその信仰を表す必要があります。地上では、旅人であり、寄留者であることを、アブラハムたちのように、天の御国を仰ぎ見て、生活しましょう。
清宣教師
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