1節~8節:冒頭、「私が、きょう、あなたがたに命じるすべての命令を守りなさい。」と記されています。このすべての命令とは、申命記12章~26章に記された事柄であると考えられます。12章が始まる直前の11章31節、32節には、「あなたがたは、ヨルダンを渡り、あなたがたの神、主があなたがたに与えようとしておられる地にはいって、それを所有しようとしている。あなたがたがそこを所有し、そこに住みつくとき、私がきょう、あなたがたの前に与えるすべてのおきてと定めを守り行なわなければならない。」と記されています。そして、12章~26章において主のすべての命令が記されています。そして、きょうの27章では、ヨルダン川を渡り、約束の地に入った時に、大きな石に石灰を塗り、主からのすべての命令を記して、エバル山に立てるように命じられました。当時、印刷技術はなく、主の命令を各自が手許に置くことは出来ませんでした。それで、民たちがいつでも読むことが出来るように、大きな石に書き記して記念碑として建てたものと思われます。また、約束の地への入国を記念して、石の祭壇を築くように命じられました。その祭壇は、鉄の道具をあててはならず、自然のままの石を利用して築くべきものでした。そして、その祭壇に、全焼のいけにえを捧げ、さらに、和解のいけにえを捧げて、それを食べ、主の前に喜ぶように命じられました。
9節~10節:モーセとレビ人の祭司たちは、イスラエルの民に対して「静まりなさい」と呼びかけました。会衆全体に静寂が訪れた時、「イスラエルよ。聞きなさい。あなたは、あなたの神、主の民となった。あなたの神、主の御声に聞き従い、私が、きょう、あなたに命じる主の命令とおきてとを行いなさい。」ここで、改めて、主の民となった、という意味を深く味わう瞬間であったと思われます。会衆全体に、その恵みが広がり、大きな感動がうねりとなって、覆ったものと思われます。
11節~26節:それから、モーセは、イスラエルの12部族が、無事に、ヨルダン川を渡り、約束の地に入国した時、イスラエルの12部族のうち、6部族はゲリジム山に、残りの6部族はエバル山に立つように命じました。ゲリジム山に立つ者たちは、祝福のことばで民たちを祝福するためでした。また、エバル山に立つ者たちは、民たちを呪うためでした。そして、レビ人たちに、主の戒めを大声で宣言するように命じました。戒めの内容は、モーセの十戒に準ずるものでした。「○○する者は呪われる」という祭司のひとつひとつの宣言に対して、民たちは「アーメン」と応答するように命じられました。
ここでは、山の中腹で、呪いが宣言されましたが、対照的な出来事を思い出します。それは、マタイの福音書5章1節~の記事です。「この群衆を見て、イエスは山に登り、おすわりになると、弟子たちがみもとに来た。そこで、イエスは口を開き、彼らに教えて、言われた。「心の貧しい者は幸いです。天の御国はその人のものだからです。悲しむ者は幸いです。その人は慰められるからです。柔和な者は幸いです。その人は地を相続するからです。義に飢え渇いている者は幸いです。その人は満ち足りるからです。あわれみ深い者は幸いです。その人はあわれみを受けるからです。心のきよい者は幸いです。その人は神を見るからです。平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです。義のために迫害されている者は幸いです。天の御国はその人のものだからです。」ここで「幸いです」と日本語に訳されていますが、本来のギリシャ語の意味は「神に祝福された」という意味です。つまり、イエス様の山上の垂訓は、「あなたがた、神に祝福された人たちよ」という呼びかけになるのです。私たちは、そのひとつひとつの宣言に対して、「アーメン」と応答するのです。きょう、イエス様の祝福の言葉に、応答しましょう。どんなに深い悲しみでも、主は豊かな愛によって癒してくださるのです。
清宣教師
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