主は、「主の家の門に立ち、そこでこのことばを叫んで言え。」とエレミヤに命じられました(1節)。主の家の門とは、あのソロモンの建てた荘厳な神殿の門のことです。そこには、毎日、大勢の人がお参りに来ていました。そこで、「悔い改めよ」という神のメッセージを叫ぶように命じられたのです。しかも、その内容は、「これは主の宮、主の宮、主の宮だ」と言っている偽りのことばを信頼してはならない、と語るのです。主の宮にお参りに来ている人たちに対して、主の宮にお参りしても何の役にも立たないよ。ほんとうに、あなたがたの行いと技を改めて、公義を行い、在留異国人やみなしご、やもめを虐げることをやめなければ、なんの役にも立たない。主の宮にお参りしても、同じように他の神や偶像も拝んているなら、主に忌み嫌われ、裁かれてしまうのだ。こんなメッセージを語るのですから、お参りに来ている人たちや、祭司などから、石打ちにされることを覚悟しなければ出来ないことでした。これまで、何度か述べてきましたが、南ユダの民は、自分たちは神の民であり、エルサレムは主の神殿のある場所であり、絶対に安全であるという偽りの信仰にたっていたのです。その結果、形式的な安息日の順守と犠牲の捧げ物、祭りを祝うことで、すっかり、自己満足していたのです。そして、利益第1主義、弱者の犠牲、偶像礼拝など、自分勝手な自己中心の生き方になり、しかも、そこに神の民であるという偽りのプライドによって裏打ちされたので、もはや、神の民とは名ばかりで、神のみこころからは遠くかけ離れたものになっていたのです。
そのような民に対して、主なる神はエレミヤを通して、民の実体を指摘し、悔い改めるように迫ったのです。それでも聞く耳をもたない民に対して、主はかつて士師の時代に聖所があって中心的都市として栄えたシロの例を持ち出して、シロは堕落して神によって滅ぼされたように、この神の都と呼ばれるエルサレムも滅亡すると預言したのです(12節―15節)。それからさらに、神はエレミヤに対して、この民のためには、執り成しの祈りを捧げてはならない、と命じられました。つまり、滅びが確定するというのです。通常の預言者の役目の一つは、民たちのために執り成しの祈りをすることでした。しかし、今回は、主はエレミヤに対して、執り成しの祈りをしてはならないと命じられたのです。同じような命令は、11章14節、14章11節、12節にも記されています。エレミヤは、エルサレム滅亡と言う神の審判は、もはや避けられないことを知るのです。その理由の一つは、子どもから大人に至るまでの「天の女王」への偶像礼拝でした(18節)。天の女王とは、金星(太白星)を指すと言われています。いわゆるルシファー(サタン)礼拝を指すのかも知れません。
きょうの個所を、現在の私たちに置き換えると、どうなるでしょう。預言者エレミヤは誰の所に遣わされましたか?礼拝をサボって世俗の楽しみに出かける人の所ではありませんでした。日曜日の礼拝に人々が集まる教会の玄関の脇に立って語るように遣わされたのです。あなたがたは、教会の礼拝だ、教会の礼拝だ、教会の礼拝だ、と言っているが、あなたは日常生活において、公義を行っているだろうか?みなしごややもめや在留異国人は虐げられていないだろうか?あなたは個人の信仰だと言って、あなたが住んでいる社会の状態には無関心ではないのか、あなたがたは神の民として、神の義を示す民でなければならない。単なる礼拝への参加で満足するならあなたの信仰は偽善である、と鋭く、私たちに語りかけるのです。悔い改めよ、というメッセージです。ただ、漫然としているなら、この国も滅びへの道を免れないのではないでしょうか。格差、差別、中絶、同性婚、偶像礼拝・・・原発の再稼働・・・。私たちは神の民として、毅然とした態度をとるように命じられているのです。
清宣教師
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