ゼデキヤ王の側近である4名の者が、エレミヤが民たちに語っている預言を聞きました。その内容は、この町(エルサレム)に留まる者は剣と飢饉と疫病で死ぬが、この町を包囲しているカルデヤ人(バビロン軍)に投降すれば、そのいのちは助かるというものでした。それで、この4名の側近は、ゼデキヤ王のところへ行き、エレミヤを殺すように求めました。そうでないと、民全体の士気がくじかれると主張しました(1節―4節)。するとゼデキヤ王は、彼らの手に、エレミヤを委ねました。それで彼らはエレミヤを捕えて、監視の庭にある古井戸にエレミヤを投げ込みました。幸い、穴の中には水はなく、泥の状態だったので、エレミヤは泥の中に沈みましたが、生き残ることができました(5節―6節)。
ところで、ここで突然登場しますが、王宮にいたクシュ人(エチオピア人)の宦官エベデ・メレクは、ゼデキヤ王のところへ行き、預言者エレミヤを助けるように進言しました(7節―9節)。すると、ゼデキヤ王は、30人を連れて行き、エレミヤを死ぬ前に救出するように命じました。そこで、クシュ人エベデ・メレクはエレミヤを救出しました。そして、監視の庭にエレミヤをいれました(10節―13節)。ゼデキヤ王は、人を遣わして、エレミヤを主の宮の入り口に召し寄せました。そこで、ひそかに、エレミヤから自分の決断に必要な預言を聞きだそうとしました。そこで、エレミヤは、バビロンの王に屈服するなら、いのちを得ること、また、エルサレムの町も焼き滅ぼされないですむことなどを告げました(14節―18節)。しかし、ゼデキヤ王は、自分が投降した場合、こんどは移送先のバビロンで、さきに捕囚の身となったユダの人たちからなぶり殺しにされるのではないかという懸念を告げました。それに対して、エレミヤは、そのようなことは起こらないと伝えました。でも、ゼデキヤ王が、主のことばに逆らい、バビロンに最後まで抵抗するなら、ゼデキヤ王も家族もバビロンの手に捕えられて、処刑されることを伝えました(19節―23節)。ゼデキヤ王は、エレミヤに対して、会談の内容は、側近のものたちには秘密にするように命じました。それで、エレミヤはゼデキヤ王に命じられた通りにしました。そして、エルサレムがバビロン軍によって占領されるまで、エレミヤはこの監視の庭に留まっていました(24節―28節)。
今日の個所では、エレミヤが預言者としての職務を、主に対して忠実に(誠実に)果たそうとすればするほど、王を始めとして、首長たち、また、政治的、軍事的、宗教的な指導者たちから、憎まれ、迫害され、投獄され、ついには殺されそうになるのです。バビロン軍によって包囲されている時、王や側近たちは、エルサレムは神の都であるから決して滅びることがないという偽りの預言により頼み、徹底抗戦を叫んでいました。そのような状況の中で、エレミヤが、「敵に降伏すれば民のいのちは助かる」と伝えたのですから、王の側近たちは、エレミヤを売国奴、非国民、敵の回し者として殺そうとしたのです。
これは、今から70年、80年前の日本の状況に重ね合わせれば、よく理解できると思います。戦前から戦中にかけて、日本の国は「神国」であり、「神風」によって守られるという偽りにより頼み、最後まで徹底抗戦を主張していました。しかし、戦前から戦中にかけて、この戦争に反対した人たちがいました。キリスト教の中の、とくに、ホーリネス教団やセブンスデーアドベンチスト教団などの教職者たちが、特高警察に逮捕され、投獄されました。中には、獄死した方もおられました。戦中は、投獄された牧師の家族は、非国民として、まわりから白い目で見られ、実際に、投石されたり、さまざまな嫌がらせを受けました。
確かなことは、主に忠実であることは、世の人から多くの迫害をうけることがある、ということ、また、同じキリスト教の仲間からさえ迫害されることもあるということです。私たちは弱いですが、主にあることにより強くされます。それが聖書の約束です。日本でもキリシタンの大迫害がありました。拷問を受けたり、はりつけにされました。しかし、14歳くらいのこどもでさえ、賛美をして、静かにその刑を受けたのです。そこには聖霊様の助けがあったのです。
信仰の道は文字通り、いのちがけの道です。人生をかけるだけの価値がある、真理の道なのです。
清宣教師
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