昨日の40章に、南ユダとエルサレムの崩壊後の状況が記されていました。占領軍であるバビロンの王が、この地の総督としてゲダルヤを立てて、この地を治めることにさせました。このことを聞いて、周辺諸国に避難していたユダの民たちが、次々に、ゲダルヤのもとに帰還してきました。その中に、王族のひとり、ネタヌヤの子のイシュアエルがおりました(40章8節参照)。そこには最初に名前が挙げられていますから、ゲダルヤのもとに集まった人の中で、最初に来た人かも知れません。ゲダルヤとしては、自分を慕って、最初に来たイシュマエルが自分を裏切ろうなどとは思ってもいませんでした(40章16節参照)。
しかし、どのような理由があったかは不明ですが、イシュマエルは、アモン人の王バアリスに買収され、反乱を起こしました。それで、総督ゲダルヤは、暗殺されてしまいました(第2列王記25章25節参照)。その時の詳しい状況が、今日の41章に記されています。イシュマエルは王の高官と10人の部下を従えてゲダルヤのもとを訪れました。そして、食事を共にしました。こうしてゲダルヤやその部下たちを安心させて、ゲダルヤを打ち殺しました(1節―3節)。
そのあと、ひとつの事件が記されています。ゲダルヤの死を知らないで、エルサレムに礼拝しようと上京してきた80人のものを、イシュマエルは言葉巧みにだまして、そのほとんどの人たち(70名)を殺しました。そして、その死体は、300年ほどまえにアサ王が掘った水ために投げ込まれました。そして、ミツパに残っていた人たちを捕虜として、アモン人の王のところに行くために出発しました。ところで、このような事件をあえて記録していることは、イシュマエルが残虐非道な人物であったことを明らかにしておく必要性があったからと思われます。総督ゲダルヤはそのようなイシュマエルの品性を見抜くことが出来なかったことが致命的な失敗に繋がりました(4節―10節)。
しかし、このことがカレアハの子のヨハナンの知るところとなり、ヨハナンは部下を連れて、イシュマエルを追撃しました。結果は、イシュマエルの敗走となり、イシュマエルは8人のものとアモン人の地へ逃げ帰りました(11節―15節)。
さて、バビロンの王によって立てられた総督ゲダルヤを打ち殺したことは、バビロンに対する反逆行為とみなされます。しかも、その犯人であるイシュマエルを取り逃がしてしまったのですから、言い訳する手段もなくなってしまいました。それで、ヨハナンや部下たちは、バビロンの報復を恐れて、エジプトに行こうと相談し、途中、ゲルテ・キムハムに行き、そこに留まりました。「ゲルテ」とは、「宿場」という意味です。つまり、キムハム宿場に留まったということです。
今日の個所からは、せっかく、神様が憐みによってユダの地に残してくださったゲダルヤと少数の人たちでしたが、アモン人の王バアリスからの利得に目がくらんだか、あるいは、バビロンに対する憎しみからか、イシュマエルという人物の行動によって、すべてが打ち壊されました。そのとき、エレミヤは、どのような生活をしていたのか不明です。一方、ヨハナンや部下たち、あるいは、その他のひとたちの行動を追跡調査するとわかりますが、彼らは主の憐みによってユダの地に残された人たちでしたが、主のみことばを中心とした生き方をしていなかったようです。付け焼刃ということばがありますが、普段の信仰の生き方が、いざというときに現われてきます。あの4年間という平和の期間に、信仰の土台が築かれていたら、このような事件も防ぐことができたと思われます。世界中でテロ事件が起こっている最中、何ごともないかのような平和が与えられているこの日本ですが、今が大事な時です。創造論宣教のために祈りましょう。
清宣教師
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