イスラエル民族にとって、エジプトに行くことは、昔から禁じられていました。それは、アブラハムに与えられたイスラエルの約束の地を離れることであり、奴隷の状態であったエジプトから解放された主の恵みに反することであったからです(申命記17章16節参照)。それで、カレアハの子のヨハナンをはじめ、エジプトの地に行こうとしていましたが、ベツレヘムのかたわらにあるキムハムの宿場に留まっていました(41章17節参照)。そして、そこからエレミヤのもとへ引き返して、預言者エレミヤに神のみこころを求めてやってきました。「どうぞ、私たちの願いを聴いて下さい。私たちのため、この残った者みなのために、あなたの神、主に、祈って下さい。御覧の通り、私たちは多くのものの中からごくわずかだけ残ったのです。あなたの神、主が、私たちの歩むべき道と、なすべきことを私たちに告げて下さいますように。」(1節―3節)。そこで、エレミヤはその申し出を承知しました。なぜなら、エレミヤがこの地に残った理由のひとつが、この民のために、主のみこころを伺うことであったからです(4節)。それに対して、彼らは、「私たちは良くても悪くても、あなたを遣わされた私たちの神、主の御声に聴き従います。私たちが私たちの神、主の御声に聴き従ってしあわせを得るためです」(5節―6節)。なんという彼らの立派な態度でしょう。主のみこころを聞きたいと願う者が、模範とすべきことばで応答しました。彼らは、丁寧にも、「良くても悪くても」と言いました。
さて、それから10日間が過ぎていきました。なかなか、主からのことばがエレミヤに対して与えられませんでした。バビロンの報復を恐れるカレアハの子のヨハナンや将校たちにとっては、非常に、不安な日々であったと思われます。しかし、ようやく、10日目に、主のことばがエレミヤに与えられました(7節)。そこで、エレミヤはカレアハの子のヨハナンと、彼とともにいるすべての将校と身分の低いものや高い者をみな呼び集めて、主のことばを告げました。その内容は、このユダの地に留まるなら、いのちが守られること、また、バビロンの手から守られること、しかし、エジプトに逃げるなら、そこで剣とききんと疫病で死ぬことになること、を告げました。「エジプトに行ってはならない」という主のことばでした(10節―19節)。しかし、さらに、こう付け加えました。「あなたがたは迷い出てしまっている」そして、「すべて私たちの神、主の仰せられる通りに、私たちに告げて下さい。私たちはそれを行います」と言ったにもかかわらず、あなたがたは、主の御声に聞き従わなかった。」だから、あなたがたは、行って寄留したいと思っているエジプトの地で、剣とききんと疫病で死ぬ」と宣告しました(20節―22節)。このあと、明日の43章で、エレミヤを通して与えられた主のことばに対する、カレアハの子のヨハナンたちの応答が記されています。それは主のことばに対する全面否定でした。どうやら、あの10日間という流れの中で、彼らの恐れが次第に膨らみ、彼らの間で協議し結論をすでに出していたようです。現実をみれば、バビロンの報復が避けられないこと、食料の不足の恐れもあること、エジプトに行けば、バビロンの追跡の恐れもなく、飢饉の恐れもなく、万事、うまくいくと判断したのでしょう。
さて、今日の個所から教えられることですが、待つことは、非常に難しいということです。主のことばを待つことが出来ずに、自分で結論をだしてしまうことがなんと多いことでしょう。滝元明先生の座右の銘は「忍耐」でした。滝元先生にとっては、信仰とは忍耐でした。信仰とは待つことであると理解されていました。忍耐なしに、待つことなしに、信仰の成長はないのですね。最初はカレアハの子のヨハナンたちは、主の民として模範的な態度を示しました。しかし、10日でメッキがはがれてしまいました。普段の信仰生活のあり方が、結局、いざという時に現われます。岩の上に家を建てる賢い人になりましょう。
清宣教師
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