昨日の48章では、モアブに対する審判の預言でしたが、今日の49章では、アモン人、次いでエドムについて、・・・最後にエラムについて、それぞれ神の審判の預言が記されています。
今日の最初に登場するアモン人は、昨日も紹介しましたが、モアブとアモンは、イスラエルの父祖であるアブラハムの甥のロトの子孫です。というわけで、昨日のモアブへの宣告についで、今日はアモンへの預言が記されています。なお、その次に登場するエドムは、アブラハムの孫にあたります。アブラハムの息子はイサクです。イサクの息子に双子の兄弟がいました。兄がエサウ(別名、エドム)、弟がヤコブ(別名、イスラエル)です。エサウは長子の権利を軽んじたため、長子の権利はヤコブに委ねられました。このように、イスラエルといわば血縁関係というか、親戚関係にあたる国々への裁きの預言から始まります。その後のダマスコやケダルやハツォルやエラムは、地理的にイスラエルの周辺国にあたるのでリストアップされています。
1節―6節は、アモン人についての裁きの預言です。「イスラエルには子がいないのか」(1節)ということばで始まりますが、おそらく、これはアモン人がイスラエルの12部族のうち、ヨルダン川の東岸に位置していたガド族やルベン族の領土の一部を占領したことを責めていると思われます。つまり、あたかもガドやルベンには世継ぎがいないかのように、アモン人の王がガドやルベンの領地を所有してしまったのです。それで、主なる神は、アモン人を裁くと宣言されています。しかし、終わりの日には、アモン人の繁栄を元通りにするという回復の約束も与えられました(6節)。
7節―22節は、エドムに対する裁きの預言です。エドムはイスラエルと兄弟関係にありましたが、主権者である神を認めないので、裁きを受けます。テマン(7節)は昔から知恵で有名であったようです。デダン(8節)はエドムの国の南部の地方の事です。ボツラ(13節)は、当時のエドムの首都でした。22節の「鷲」とは、ネブカデレザルなのか、どうか、ここでは明確ではありませんが、神の裁きを実行する器として用いられる者をさしています。
23節―27節は、ダマスコについての裁きの預言です。ダマスコはイスラエルの北方の国、アラム(別名シリヤ)の首都です。シリヤの諸都市(ハマテやアルパデ)は、敵の手によって占領され、ダマスコにあるシリヤの王ベン・ハダテの王宮も焼かれてしまいます。実際、アッシリヤによって攻撃を受けて、ベン・ハダテの王朝は滅びました。
28節―33節はケダルとハツォルについての裁きの預言です。ケダルはパレスチナの東方にある古い町であり、その起源は、アブラハムの側室の子のイシュマエルにまでさかのぼります(創世記25章13節)。「ハツォルの王国」(28節)と記されていますが、ヘブル語の原語では、王国は複数形です。つまり、地方に点在する部族の集まりのようです。「そこにはとびらもなく、かんぬきもなく」(31節)という表現、あるいは「こめかみを刈り上げている」(32節)という表現からも、ベドウィン的な遊牧民の生活をしていたようです。そこは人も住まなくなるほどに滅ぼされると預言されています(33節)。ただ、現在、それがどの場所であったかは定かではありません。
34節―39節は、エラムについての預言です。エラムはティグリス川の流域、特にその東側の地域を指しますが、その王国の勢力範囲については、資料がなく、不明です。ただ、エラム人は、昔から弓術にたけていたようです。この国もやがて亡びるのですが、終わりの日には、「エラムの繁栄を元通りにする」という約束が加えられています(39節)。
このように、主は公儀と正義をもって、地上の歴史に介入されます。私が小学生のころ、大学生であった兄が、良く言っていた言葉を覚えています。それは[ローマ帝国が滅んだ真の理由は、同性愛や性的道徳の腐敗だった]ということばです。それは国の敗北は、政治や軍事力の弱体化ではなく、倫理的な弱体化によるということを伝えたかったのだと思います。確かに、主は正義と公議をもって裁かれます。私たちがいま生きている社会は、ヒューマニズムの世界観、進化論の世界観が支配する社会です。日本の国が同性愛や同性婚に関して、それらを人権として認めようというヒューマニズム(人間中心主義)の流れに飲み込まれてしまうことがないように、私たちは人間の基本的な倫理(創造の秩序)をしっかりと堅持する必要が在ります。聖書の創造論の土台を明確に理解し、創造主のみこころを守ることが祝福の土台です。
清宣教師
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