エゼキエルは、このあと、主からのメッセージを実演して民たちに示すように命じられることになります(4章1節―5章17節)。現代風に言えば、パントマイムの劇によって語るようなものなのでしょうね。
1節―3節では、エルサレムの包囲について記されています。主はエゼキエルに1枚の粘土板を用いてエルサレムの町の模型を造らせます。そして、町の周りに塹壕や城壁崩しなどを配置するように命じられました。さらに、1枚の鉄の平鍋をもってエゼキエルと粘土板に描かれた町との間に置くように命じられました。これらの象徴は、明らかに、数年後におこるであろうバビロン軍によるエルサレムの町の包囲を表すものでした。この平鍋が、もし、町を包囲する軍隊と町との間におかれるとしたら、それは主ご自身が鉄の壁となり、エルサレムをバビロンの軍隊から守るという意味になるはずです。しかし、この平鍋はエゼキエルと町との間におかれました。そして、エゼキエルは町に対して顔を向けて立っていました。つまり、エゼキエルも鉄の平鍋も、エルサレムを攻撃するバビロンの側にあったのです。ということは、エルサレムに対する神の裁きは徹底していることを表すことになります。
4節―8節では、イスラエルとユダへの刑罰の日について記されています。エゼキエルはイスラエルの罪のために390日(つまり、1日を1年と計算して390年分)、また、ユダの罪のために40日(つまり、40年)、寝返りすることなく、苦痛を耐えて寝るように、主から言われました。これらの年数が何を表すのか、明確ではありません。いろいろ解釈が試みられていますが、どれもこれも、年数が合いません。そうなると、エジプトでの寄留の430年、と荒野での40年との関連性を指摘して、なにか象徴的な年数ではないかと解釈する人もいます。
9節―17節は、エルサレムの飢饉について記されています。パンは1日1回だけ、雑穀を混ぜて作ったパンを20シェケル(228グラム)、水も1日1回だけ、6分の1ヒン(0.6リットル)という制限でした。パンは、人糞で焼けと言われましたがエゼキエルは主に対して抵抗しました。その結果、人糞ではなく、牛糞を乾燥して薪としてパンを焼くことになりました。これほど、ひどい飢饉がやがて、バビロン軍の包囲に伴ってエルサレムに起こる事を示す預言的な行動でした。
エゼキエルが自宅の前で行ったこの不思議な行動は、テル・アビブの捕囚の民たちの間に、ニュースとして、野火のごとく、またたくまに拡がったに違いありません。私たちクリスチャンの場合、このようなことを主から命じられることは滅多にないと思います。ただ、ことばによる伝達よりも、効果的であることは理解できます。教会でも十字架や復活の福音を伝えるのに、寸劇やミュージカルやサインダンスなど、いろいろな伝達手段を試みています。私自身、メッセージをするにあたって、パワーポイントを用いるのも、耳だけでなく、視覚にも訴えるということで、出来るだけ分りやすく、しかも、記憶に残りやすい映像を用いています。メッセージの中に寸劇を取り入れることも試みたことがあります。効果的ですが、脚本を書いて、ひとりひとりに演じてもらうためには、練習のための時間も必要ですので、いつのまにか、たち切れになってしまいました。演劇の賜物があるかたがチームを作って奉仕して下さったらよいのですが。・・・
清宣教師
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