昨日の8章の最後の方に、解釈が難しい個所があったと思いますので、補足します。エルサレムの神殿の中で異教の神々を礼拝するものがいました。彼らは太陽崇拝をしていました(8章16節)。そこで「ぶどうのつるを自分たちの鼻にさしている」(17節)と記してあります。新共同訳では「わたしの鼻に木の枝を突き付けて」と訳しています。エジプトの太陽神ラーを礼拝する者たちは自分たちの息で太陽の光を汚さないように木の枝を束にして鼻先に持って礼拝していたと言われています。どうやら、この主の神殿の中で、太陽神ラーに対する忌むべき礼拝が行われていたようです。
さて、今日の9章では、1節―6節において、主は、エルサレムを罰する死刑執行人として6人の男たち(御使い)を呼び出しました。彼らは「北に面する上の門を通って」現われました。8章で既述されていましたが、「ねたみの偶像」があった場所(87章3節)であり、女たちがタンムズのために泣いていた場所(8章14節)でした。(タンムズとはサマリヤの草木の神で、よく知られた神話では死んで他界になった神です。タンムズはギリシャ風の服をまとい、アドニスやアフロディーテの名前と関連しています。)
次に、「ケルブの上にあったイスラエルの神の栄光が、ケルブから立ち上り、神殿の敷居へ向かった」(3節)という表現が出てきます。これは、10章4節、18節、19節、11章23節に記されている「主の栄光が最終的に神殿から離れ去る」、最初の予備的な移動を表しています。
さて、そこにもう一人の亜麻布の衣を着て、腰には書記の筆入れをつけた御使いがいました。7人目の御使いは、憐みの使者です。彼の使命は、エルサレムの腐敗を嘆き悲しんでいる人たちに、書記の筆で、彼らの額にしるしをつけることでした。亜麻布というのは祭司の務めを表しています。つまり、執り成しの役目です。「しるし」と訳されていることばは、「ターウ」というヘブル語のアルファベットの最後の文字で、「×」あるいは「+」であらわされました。それで、十字架のしるしの預言と解釈している人たちもいます。さて、主は、6人の死刑執行人としての御使いたちに対して、亜麻布を着た御使いが、人々の額(ひたい)にしるしをつけてから、死刑を執行するように命じました。そして、亜麻布を着た御使いが額にしるしをつけた者たちに対しては決して近づいて危害を加えてはならないと命じられました。そして、6人の御使いに、まず、わたしの聖所から始めよ、と命じられ、神殿の前にいた老人から処刑が始まりました。そして、神殿の中も、神殿の庭も、町の中も、多くのものが死体となって横たわりました。それを目撃したエゼキエルは、「イスラエルの残りの者たちをことごとく滅ぼされるのですか」と主に対して叫びました。しかし、主は彼らは「主はこの国を見捨てられた。主は見ておられない」と言っているので、わたしも惜しまずに、彼らの頭上に彼らの行いを返すのだ」と言われました。そして、処刑は継続されました。そのとき、亜麻布を着た御使いが、自分の任務が完了したことを告げました。ここで、「主はこの国を見捨てられた。主は見ておられない」と言っている者たちの主張は、なんだったのでしょうか。彼らは、主の預言者が指摘しているにもかかわらず、自分たちの悪行のゆえに、このような罰をうけているのだとは考えていませんでした。「自分たちの礼拝は正しい、こんなにも主を礼拝している私たちを、何故見捨てるのか、主は見ておられないのだ。そうであれば、何をしようが勝手だ」というような「主は無責任である」という主張に裏付けられていたようです。
私たちもそういう傾向がありますね。「祈ったのに何故、聞いてくれないの?」というような発言の裏には、自分を義とする主張が隠されているように思われます。私たちの中にも、自分を義とする思いが、なにかの拍子に、表面に出てくることがあります。御子の姿に近づくように、古いものを脱ぎ捨てる良い機会ですね。
清宣教師
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