サムエルはダビデの心の支えでしたが、この世を去りました。600人の部下の日々の糧を調達しなければならないダビデの責任は重いものでした。マオンに家を持つ、大富豪のナバルが刈取りの祝宴を盛大に催していることを知り、ダビデは10人の若者を遣わし、自分たちに好意を施してくれるようにお願いしました。ところが、ナバルは、ダビデのことを口汚くののしり、なにも持たせずに返しました。おそらく、酒に酔った勢いとはいえ、ナバルの本心をあらわすものであったに違いありません。どうやら、サウル王が流していた情報を鵜呑みにして、正しい判断が出来なかったようです。ダビデのことを逃亡奴隷呼ばわりして、ダビデの謙遜な申し出に対して、侮辱をもって応えました。ですから、ダビデは激怒して、400人の部下を連れて、直ちに攻撃態勢につくように命令しました。
一人の若者が、ナバルの妻のアビガイルに、実情を報告しました。アビガイルは、直ちに行動を起こし、しもべたちに、大量の高価な食事を用意させて、すぐに、ろばに乗せて、自分の先を進ませました。ダビデは激しい憤りの感情が冷めずに、若者たちを率いて山陰をくだってきました。すると、そこで、アビガイルと出会います。(これはまさに、主の御計画でした)。アビガイルは、ダビデの前にひれ伏して、夫ナバルの行動を非難し、夫の代わりに謝罪しました(24節)。そして、ダビデが主の御計画の中で必ず、王となること、そのときになって、一時的な義憤により、無用な血を流すことがあれば、後悔することになるのではないか、贈り物をおさめて、心を静めて、無用な血をながすことがないように、懇願しました。そして、ダビデに対して、「ご主人様のいのちは、あなたの神、主によって、いのちの袋にしまわれており、主は、あなたの敵のいのちを石投げのくぼみに入れて投げつけられるでしょう」と理を尽くして願い求めました。怒りで先が見えなくなっていたダビデが、アビガイルのことばに、自分自身を取り戻しました。ダビデは、自分が無用な血を流すことがないように、アビガイルを自分のもとに送って下さった主なる神に賛美を捧げました(34節)。そして、アビガイルの手から、贈り物を受け取り、自分のところに帰って行きました。アビガイルが家に帰ってみると、ナバルは大宴会の最中で、酒によっていました。それで、翌朝、アビガイルは、夫ナバルがダビデに対してなした仕打ちを、細かに報告しました。すっかり、酔いがさめたナバルは、自分がしたことが一家に死を及ぼすようなことをしてしまったことを知り、ショックで寝込んでしまいました。それだけでなく、10日後に、死亡してしまいました。この背後には、主の裁きがありました。ダビデが直接、手を下さなかったので、主が裁きの手を下されたのです。ダビデは、ナバルの死後、アビガイルに求婚します。美しく、聡明なアビガイルが、ダビデの助け手として大きな役割を果たしたものと思います。しかし、二人の妻をめとることは、主のみこころに反することでした(申命記、17章17節)。
今日の聖書から教えられることは、クリスチャンとして、日常の生活をしていくなかで、時には怒りにまかせて行動するときがありますが、神様はダビデのケースのように、教会の兄弟姉妹を用いて、私たちの怒りを治めてくれるということです。そのとき、意地を張ることなく、ダビデのように、すぐに、主のみこころを悟ることが必要です。そして、怒りによって罪を犯すことから守ってくれた兄弟姉妹に感謝すること、そして、主に感謝することです。主よ。私たちが自分は正しいといって、怒りに身を任せることがないように、守って下さい。ダビデのときのように兄弟姉妹を通して、私たちを導いて下さい。
清宣教師
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