ダビデ王朝の祖であるダビデの羊飼いの時代をみてきた私たちにとって、きょうの11章のソロモン王に関する記述は、とても、理解できない隔たりを感じます。主のみこころを第1として歩んだダビデの生涯でしたが、あのバテシバ事件のあと、暗闇が忍び込みました。そして、サムエル記から列王記へと入り、次第に次第に、光の陰にある暗闇の存在が浮き彫りにされてきました。そして、遂に、きょう、11章では、ソロモンがパロの娘のほか、モアブ人の女、アモン人の女、エドム人の女、シドン人の女、ヘテ人の女を愛した、と記されています。さらに、わざわざ、「この女たちは、主がかつてイスラエル人に、『あなたがたは彼らの中に入って行ってはならない。彼らをもあなたがたの中に入れてはならない。さもないと、彼らは必ずあなたがたの心を転じて彼らの神々に従わせる』と言われたその国々の者であった。それなのに、ソロモンは彼女たちを愛して、離れなかった。彼には七百人の王妃としての妻と、三百人のそばめがあった。その妻たちが彼の心を転じた。」と記されています。ソロモンは、人類の歴史を通じて、ベストテンに入る知恵の人でした。しかし、それが災いしたのかも知れません。主のみことばに従わなかったので、サタンの策略にはまり、気付かないうちに、滅びの道を選んでいました。本来、聖書の知恵は、昨日の終わりに引用しましたが、箴言30章7節~9節にあるような知恵でした。しかし、ソロモンの知恵は、どちらかというと、今でいう最先端技術のような分野に関心が向いていたのかも知れません。当時の世界の政治家や学者たちの関心をひく課題について、華々しい成果をあげて人々の賞賛を一手に受けていたような感じがします。そのぶん、主との対話の必要性が薄れていき、人々の賞賛で満たされる生活へと、次第にスライドバックしていったのかも知れません。
残念ですが、主からいただいた繁栄が、質的に変質していったのは、サタンの策略であり、ソロモンの心の変化でした。やはり、高ぶりなのでしょうか。主はソロモンに対して、2度も、ソロモンに現われて、明らかな警告のメッセージを語られました。しかし、ソロモンは、もはや聞く耳を持たなかったようです。主の前では過去のことが、あまり意味をもたないようです。過去ではなく、「いま」です。そして、「未来」です。過去の信仰ではなく、「いま」の信仰が未来を変えるのです。過去にどんなに立派な信仰を持っていても、油断出来ません。それを頼りにすると間違ってしまいます。主の前では、「いま」の信仰です。これは、ある意味、どんな人にとっても平等にチャンスがあるということです。
そして、主の裁きが、始まります。空前絶後の繁栄と安定を誇っていたソロモンの治世に、少しづつ、ヒビが入り始めました。ハダデ、ヤロブアムが起こされて、ソロモンに反逆するようになりました。今までは、主の手によって守られていたのですが、主の手が取り去られて、イスラエルの国は分裂せざるを得ない状況に追い込まれていきました。ソロモンは、全イスラエルの王として、エルサレムで40年間、王として君臨しました。しかし、ソロモンも寿命が尽きて、ダビデの町に葬られました。そして、彼の子レハブアムが代わって王となりました(42節、43節)。ここから、一挙に、イスラエルのダビデ王朝の負の部分が噴き出して、分裂へと進みます。
今日の個所から教えられることは、「いま」の信仰の大切さです。過去の信仰を頼りにすることは出来ません。「いま」の信仰が問われるのです。これはチャンスです。過去がどうであれ、「いま」正しい信仰に立ち返るなら、主にある未来が約束されるのです。そして、もうひとつ、次世代への信仰の継承の大切さです。次世代への信仰の継承が、良き未来を築くのです。No success without a successor という英語の格言はとても重要なことを教えてくれます。
清宣教師
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