預言者のエリシャが、預言者のともがらのひとりを呼んで命じました。「腰に帯を締め、手にこの油のつぼを持って、ラモテ・ギルアデに行き、エフーを見つけ、奥の間に連れて行き、油のつぼを取ってエフーの頭の上に油を注いで言いなさい。『主はこう仰せられる。わたしはあなたに油をそそいでイスラエルの王とする。』」エリシャに命じられた若いものは、その通りに実行しました。実際には、エフーの頭に油を注いでから、主のことばを詳しく伝えました。「イスラエルの神、主は、こう仰せられる。『わたしはあなたに油をそそいで、主の民イスラエルの王とする。あなたは、主君アハブの家の者を打ち殺さなければならない。こうしてわたしは、わたしのしもべである預言者たちの血、イゼベルによって流された主のすべてのしもべたちの血の復讐をする。それでアハブの家はことごとく滅びうせる。わたしは、アハブに属する小わっぱから奴隷や自由の者に至るまでを、イスラエルで断ち滅ぼし、アハブの家をネバテの子ヤロブアムの家のようにし、アヒヤの子バシャの家のようにする。犬がイズレエルの地所でイゼベルを食らい、だれも彼女を葬る者がいない。』」エフーは、最初は半信半疑のようでしたが、同僚たちに話しをすると、同僚たちはみなエフーの足元に、自分たちの上着を敷き、角笛を吹き鳴らして「エフーは王である」と宣言しました。このことを通して、エフーは決断したようです。エフーは、主のことばを、主から託された使命として受け取りました。そして、すぐに行動に移しました。その時、イスラエルの王であるヨラムは、アラムとの戦いで負傷して、イズレエルで傷の手当てをして養生していました。それで、エフーは、イズレエルへ向かい、ヨラムを殺しました。そして、侍従に命じて、ヨラムの遺体をイズレエル人ナボテの所有地であった畑に投げ捨てさせました。なお、その時、ヨラムを見まいに来ていた南ユダの王であるヨシャパテをも追撃して、傷をおわせました。ヨシャパテはメギドまで逃げましたが、そこで、命を落としました。一方、エフーは、イズレエルにいたヨラムの母であり、アハブの妻であったイゼベルを包囲しました。イゼベルは、最後の威厳を保つべく、エフーを見ると、かつてバシャ王の子であるエラを殺して、わずか7日間だけ王となったジムリになぞらえて、エフーに対して「元気かね、主君殺しのジムリ」と呼びかけました。そこで、エフーは、イゼベルと共に2,3人の宦官がエフーを見下ろしているのを確認すると、「だれか私にくみする者はいないか。だれかいないか」、「その女を突き落とせ」と言うと、宦官たちはイゼベルを突き落としました。あとになって、彼らがイゼベルを葬りに行くと、彼女の頭蓋骨と両足と両方の手首しか残っていませんでした。それは、預言者エリヤによって語られたことばのとおりでした。「イズレエルの地所で犬どもがイゼベルの肉を食らい、イゼベルの死体は、イズレエルの地所で畑の上にまかれた肥やしのようになり、だれも、これがイゼベルだと言えなくなる」。イゼベルは自分の最期を取り繕いましたが、そのとき、彼女を助けようとする者はひとりもいなかったのです。エフーはヨラムの部下として、ヨラムと一緒に行動していましたが、主の預言者のことばにも耳を傾けながら、行動していたようです。アハブやイゼベルが、ナボテを偽りの罪で告訴して殺して、ナボデの地所を奪うような行為に対して盲目的に従っていたわけではないようです。主は、そのようなエフーを、アハブやイゼベルの王家を裁く器として選ばれたようです。
主の預言者は、なんの権力も持っておらず、自分の身を守るすべもありませんでした。しかし、主は預言者を通して、イスラエルの国の進路を左右する役目を与えられています。今でも三権分立ということばがありますが、イスラエルの国は、王と祭司と預言者という3つの職務をもつ、主に油注がれた器によって成り立っていました。この3つの職務を持つ者たちが、自分たちの役目を忠実に果たし、お互いに支え合う時に、イスラエルの国は、正しく立つことができたのです。しかし、そのバランスが崩れる時、イスラエルの国は混乱したのです。終わりの時代に、主が救世主として遣わされたのが、王・祭司・預言者としての3つの職務を備えたメシア(油注がれた者、救世主)でした。イエス様は、王・祭司・預言者としての3つの職務を兼ね備えた完全なメシアなのです。
清宣教師
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