これまでは、聖歌隊や門衛などについて記されていました。ここでは、ダビデ王に仕える軍団が記されています(1節~24節)。1年を12に分けて、それぞれ月ごとに24000人の分団が担当することになりました。総勢、28万8千人の近衛兵たちです。この記述は、威風堂々、イスラエルの精鋭たちが整然として、王に仕える様子が手にとるように分ります。この歴代誌が記された当時の状況は、繰り返しになりますが、バビロン捕囚から帰還して、いよいよ、復興にとりかかるのですが、なかなか、復興が進まない現実の中で、イスラエルの民たちは失望したり、また、現状に妥協してしまったり、夢と希望を失いつつある状況でした。そこで、かつてイスラエルが信仰に立ち、神の民として繁栄を築いたダビデ時代の聖歌隊、門衛、近衛兵たちの様子を知ることにより、失望落胆し、現状に妥協している民たちを奮い立たせることが目的のひとつであったと考えられます。なお、イスラエルの王国を支えたのは、精鋭部隊だけでなく、イスラエルの産業を現場で指導し、支えた人たちでもありました。例えば、ブドウ畑、オリーブの木、イチジクの木、牛の群、らくだ、雌ロバ、羊の群れなどを管理する係長たちがいました。また、ダビデを取り巻く、議官もダビデ王国には欠かせない人材でした。
一方、気になる名前が記されています。例えば、アヒトフェル(33節)、エブヤタル(34節)、ヨアブ(34節)です。彼らはダビデに対して忠実に仕える者たちでしたが、最後の最後までではありませんでした。最後にはダビデを裏切った人たちでした。最後まで仕えるということは、とても難しいことです。自分自身が重んじられないと感じる時、自分を重んじる人へと鞍替えするのが人間の常であると考えられます。自分中心の世界観では、それが正当な選択となってしまうのです。主の御心は、何かという世界観を持たない限り、いつの世でもこのようなことが起こってしまうのです。教会の奉仕の世界でも、奉仕に執着することは危険です。自分でなければ、という思いは危険です。主が立てて下さるのです。主のみこころが成りますように。
清宣教師
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