今日の詩篇34篇の背景は、ダビデがソウルを逃れてガテのアキシュのところに行った時のことであると考えられています。つまり、サムエル記第1、21章10節~15節に記されている出来事です。そこには、次のように記されています。ダビデはその日、すぐにサウルからのがれ、ガテの王アキシュのところへ行った。するとアキシュの家来たちがアキシュに言った。「この人は、あの国の王ダビデではありませんか。みなが踊りながら、『サウルは千を打ち、ダビデは万を打った』と言って歌っていたのは、この人のことではありませんか。」ダビデは、このことばを気にして、ガテの王アキシュを非常に恐れた。それでダビデは彼らの前で気が違ったかのようにふるまい、捕らえられて狂ったふりをし、門のとびらに傷をつけたり、ひげによだれを流したりした。アキシュは家来たちに言った。「おい、おまえたちも見るように、この男は気が狂っている。なぜ、私のところに連れて来たのか。私に気の狂った者が足りないとでもいうのか。私の前で狂っているのを見せるために、この男を連れて来るとは。この男を私の家に入れようとでもいうのか。」それで、ダビデはそこを去って、アドラムのほら穴に避難しました。ダビデは、サウルの追撃を逃れて、イスラエルの敵であるアキシュ王のもとへ行きましたが、そこで、アキシュの家来たちがささやく声を聴いて、気が狂ったふりをして、その場を逃れ出ました。主の守りが見えない。主の導きが見えない。自分なりに必死で考え、必死で逃げ隠れするダビデでした。しかし、その中に、主の導きと守りがありました。そして、アドラムの洞穴に避難することができました。どんなときでも、主は共におられたのです。ですから、ダビデは「私はあらゆるときに主をほめたたえる」(1節)と賛美しました。そして、絶体絶命と見える時にも、主はすべての恐怖から救い出してくださいました(4節)。主の使いは、まわりに陣をはり、ダビデとその供の者たちを助け出してくださいました(7節)。ダビデは、「主のすばらしさ」を実際に豊かに味わい知りました。だから、苦難の中にいる人たちに呼びかけるのです。「主のすばらしさを味わい、これを見つめよ。」(8節)。この世の中では、いろいろな出来事が襲い掛かります。その中で、一番大事なことは、「主を恐れること」(9節)です。「主を恐れる者」、「主を尋ね求める者」は、決して主に忘れられることはなく、主の目は彼らの上に注がれ、主の耳は、彼らの上に向けられています。そして、彼らこそ、喜びと平和を得るのです。そして、主はとくに「心の打ち砕かれた者」(18節)の近くにおられ、「霊の砕かれた者」(18節)を救われるのです。こうして、「主に身を避ける者」たちは、決して罪に定められることはないのです(22節)。今日の詩篇は、詩篇25篇と同じように、アルファベット形式の詩です。ヘブル語のアルファベットは22文字から、この詩は22節から成り立っています。1節の冒頭の文字は『アーレフ』、2節の冒頭の文字は『ベート』、3節は『ギメル』・・・・そして、最後の22節の冒頭の文字は、『タウ』です。
今日の聖書の個所から教えられることは、自分自身の力で、自分自身の知恵で、もがき苦しみながら危機的な状況を抜け出そうとしているときでも、主は大きな御手で守って下さっていることです。主は恵み深く、憐み深いお方です。
清宣教師
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