きょうの22章1節の表題は、「幻の谷に対する宣告」となっています。『幻の谷』とは、いったい、どこのことでしょうか? エルサレムのことであると言われいます。なぜ、「幻の谷」と呼んだのか、その理由は確かではありませんが、おそらく、イザヤが多くの幻をこの町で与えられたこと、また、実際の地形は谷ではありませんが、霊的に主の山々に囲まれていることを表しているのかも知れません。これまでのイザヤの宣告は、諸外国に対するものでしたが、どうして、ここで、エルサレムに対する宣告が出てくるのかということも、不思議のひとつです。それは、おそらく、エルサレムの住民も、諸外国の民と同じように、真の神を信じることなく、人間の力に頼り、異教の国民と変わりのない生活をしていたからであると思われます。
1節―14節:エルサレム住民の無視の裁き。1節の出だしから、そのことがうかがえます。「これはいったいどうしたことか。おまえたちみな、屋根に上って。喧噪に満ちた、騒がしい町、おごった都よ。」どうして?なぜ???? 主の裁きを前にして、こんなに屋根に上ったり、大騒ぎをし、楽しんでいるエルサレムの住民たち。もはや、異教の国々と同じではないか。主の預言や警告のことばを無視している。主の前に、悲しみ、悔い改める様子など、まったく見られない。これはなんということか。
イザヤは将来のエルサレムの滅亡を幻で見せられたのであろう。「私は言う。『私から目をそらしてくれ、私は激しく泣きたいのだ。私の民、この娘の破滅のことで、無理に私を慰めてくれるな。』」と記しています。
15節―25節:シェブナとエルヤキム。15節で、「万軍の神、主は、こう仰せられる。さあ、宮廷をつかさどるあの執事シェブナのところに行け。」。ここでは、「あの」といわれています。おそらく、あの悪名高いということで、みんなによく知られた人物であったと思われます。シェブナに対して、主の厳しい宣告が記されています。その事情は詳しくは書いてありませんが、例えば、シェブナは外国人であったにもかかわらず、傲慢にもエルサレムの王族の墓地の中か、近くに、自分の豪華な墓を建てたということが想像されます。明確な罪は記されていませんが、「あなたの誇った車」と記されていることから、どうやら、高慢の罪と思われます。人もうらやむようなシェブナの権威、それはシェブナが自分こそ、支えの大釘と自負しているような人物でしたが、主によって、抜かれ、おられてしまう、と宣言されています。主は、シェブナに代わって、驚くべき権威(ダビデの家のかぎ)をヒルキヤの子、エルヤキムに与えると、宣言されました。そして、「彼を一つの釘として、確かな場所に打ち込む。彼はその父の家にとって栄光の座となる。」と宣言されました。
今日の聖書箇所は、主に背を向け、傲慢に勝ち誇ったようなシェブナに対して、エルヤキムのように謙遜に主に信頼する生き方こそ、民が模範とすべき指導者であることを教えていると思われます。
清宣教師
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