8章から11章までは、エルサレム神殿を巡る幻ですが、きょうは、エルサレムを罰する者の幻です。1-6節は、6人の御使いともう一人の御使いに対する命令で、7-11節はエルサレムの破壊の光景、預言者と主との問答です。1節で、この方は「大声で叫んで仰せられた」と記されています。これは昨日の8章の最後の18節で、エルサレムの神殿の中で偶像礼拝をおこなっている者たちが「わたしの耳に大声で叫んでも、わたしは彼らの言うことを聞かない」と主は言われました。しかし、今度は、主がエルサレムに対する裁きを「大声で叫び」、命令されるのです。「この町を罰する者たち」とは、エルサレムを守護する御使いたちのことであり、彼らはエルサレムの町を守る役目を与えられていましたが、同時に、エルサレムの町の聖さが冒されてしまった場合には、これを罰する役目も与えられていたと思われます。主が命じられると、6人の男(御使い)たちが現れました。彼らはあらゆるものを破壊する武器を手にしていました。それから、もうひとりの御使いは亜麻布の衣を着ていました。亜麻布の衣は祭司的な働きを表しています。彼は腰に書記用(携帯用)のペンとインクをつけていました。さて、そのとき、3節ですが、契約の箱の上のケルブの上にあった主の栄光が、神殿の敷居に向かっていきました。8章4節で、素晴らしい主の栄光が、主の宮に満ちている様を描写していましたが、9章3節で、その栄光が神殿から外へ出ようとしていることが分ります。じつは、やがて、11章23節で、主の栄光は、神殿を抜け出て、エルサレムの東の山に離れていくことになります。次に4節で、主は、亜麻布を着ている御使いに命じました。町の中を行き巡り、偶像礼拝を嘆き、悲しんでいる人々の額にしるしをつけるように命じました。それから、5節―7節で、主は、6人の御使いたちに裁きを命じました。それは、年寄り、若い男、若い女、こども、女たちを含む、徹底した裁きであり、殺し、滅ぼせと命じられています。しかし、額にしるしのついた者には近づいてはならない、と命じられました。そして、まず、わたしの聖所から始めよと言われました。神殿の前にいた老人たち、つまり、8章16節に記されている25人の祭司たちであると思われます。それから、7節、宮の中で偶像礼拝をしていた者たちがみな打ち殺されました。それから、町の中の人たちが殺されました。これは聖絶を思い起こさせます。かつて、イスラエルの民が、エジプトから救出され、神の約束の地、カナンに入るとき、先住民の7つの民は、偶像礼拝と罪のゆえに、みな聖絶されました。そこに入って定住するようになったイスラエルの民たちでしたが、彼らも、偶像礼拝と罪により約束の地を満たすなら、聖絶されるのです。さて、8節、エゼキエルは、その様子をみて、執り成しの声をあげます。第1次捕囚を免れてエルサレムに残った民を、ことごとく滅ぼされるのですか。(どうか、それはやめてくださいという願いだったと思われます)しかし、主はエゼキエルに言われました。彼らは、自分たちの罪を認めるどころか、逆に、「主はこの国を見捨てられた」と言い、自分たちを見捨てた主の無責任を糾弾し、「主は見ておられない」だから、何をしようが勝手だという、反抗的な民に対して、もはや裁きが止められることはないのです。彼らの頭上に、彼らの行いを返すと宣言されました。しかし、最後の11節で、亜麻布を着た御使いが報告しました。「あなたが私に命じた通りに私は行いました」このことばは、エルサレムの中で、偶像礼拝の罪を嘆き、悲しんでいる者たちの額にしるしをつける仕事が無事に完了したこと、だから、彼らはみな、裁きから免れたことを報告したことを意味ます。しるしとは、ヘブル語のアルファベットの最後の文字で「タウ」ということばです。これは、「×」、「+」で表現されることがあります。それで、ある解説者は、十字架のしるしと解釈しています。クリスチャンが御国に入ることが出来る証印は「聖霊様」です(エペソ1章13節)。
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