昨日の35章には、レカブ人の忠実さが紹介されていました。そこでは、34章までの流れがいったん中断されて、ゼデキヤ王の前のエコヌヤ(エホヤキン)王の前のエホヤキム王の時代の事が挿入されていました。今日の36章では、さらに、その前に遡り、エホヤキム王の第4年の出来事が挿入されています。エルサレム陥落から10数年前の出来事です。
2節には、「あなたは巻き物を取り、わたしがあなたに語った日、すなわちヨシヤの時代から今日まで、わたしがイスラエルとユダとすべての国々について、あなたに語ったことばをみな、それに書きしるせ。」と主から命じられています。それで、エレミヤは、主からの命令に従い、エレミヤ付きの書記バルクを呼んで、これまでの預言者としての働きを口述筆記させて、巻き物として残しました(2節~4節)。当時、エレミヤは主の神殿に入ることを禁じられていたようです。バルクに命じて、断食の日に集まった人たちに、その巻き物に記されている主のことばを伝えてもらいました。そして、それは首長たちにも伝えられました(5節~13節)。首長たちは、その内容を聞いてまず、バルクからもう一度、巻き物に書かれていることばを聞き、それがエレミヤの預言を口述筆記したものであることを確かめました。そして、首長たちは、この内容を王に報告する前に、エレミヤとバルクに身を隠すように勧めました。どうやら、エホヤキム王がエレミヤのことばを聞いたならば、エレミヤとバルクのいのちが危ないとの判断があったようです。エレミヤとバルクの身が安全であることを確認したのち、首長たちは、巻き物を書記エリシャマの部屋において、エホヤキム王にすべてを報告しました。首長たちは、あえて巻き物を持参せずに、概要をエホヤキム王に報告したようです(14節~20節)。ところが、それでは済まされず、エホヤキム王は、その巻き物を王のところに持ってくるように命じました。そして、エフディに巻き物を首長たちと王の前で朗読させました。それは、すでに寒さを感じる時期であり、暖炉には火が燃えていました。エホヤキム王は、エフディが巻き物を3,4段読むごとに、書記の小刀で巻き物を切り裂いて暖炉の火の中に投げ入れ、ついに、巻き物全体を燃やしてしまいました(21節~23節)。王と側近の家来たちは、主のことばを恐れませんでしたが、中には恐れた人たちもいたようです。巻き物を焼かないように王に願いましたが、聞き入れられませんでした。エホヤキム王と側近の家来たちの態度は、以前、ヨシヤ王が神殿の修理の際に発見された主のことばを聞いたとき、自分の衣を裂き、断食して悔い改めた態度とはきわめて対照的でした。エホヤキム王は、側近の者たちに命じて、バルクと預言者エレミヤを捕えるように命じました(24節~26節)。その後、主は、エホヤキム王が暖炉で焼いた巻き物の内容を、再度、巻き物に書き記すようにエレミヤに命じ、さらに、ユダの王エホヤキムに対する預言のことばを加えて、巻き物に記させました。この新しい巻き物の内容が、現代の私たちにエレミヤ書の内容として伝えられているのです。
今日の聖書箇所に関連して思い出されることは、これまでの歴史の中で、聖書のことばは、為政者によって大事に保管されたのではなく、むしろ、為政者にとって有害なものとして禁書にされたり、あるいは、焚書(ふんしょ)として、時の絶対的な権力者により、焼却処分されたという歴史があります。しかし、主はご自分の権威のもとに、聖書を守り、私たちの時代にまで伝えて下さいました。主の主権は、すべての独裁者、権力者にはるかにまさることを讃美します。みことばが、私たちの手許にあることを、改めて感謝します。
清宣教師
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