1節~6節:このへブル人への手紙は、名前の通り、ユダヤ人あてに書かれている手紙です。これまでは、旧約時代の預言者に対する御子イエス・キリストにおける啓示の優越性を説き、さらに、御使いに対する御子イエスの優越性を説いてきました。ここでは、さらに、イエスが、モーセに優る方であることを示そうとしています。ユダヤ人にとって、モーセは旧約聖書の中で神の律法全体のエッセンスといえる十戒を与えられた存在であり、神の家全体のための忠実な奉仕者でした。一方、キリストは、神の家の所有者でした。モーセは、神の啓示のひとりの証人でした。一方、キリストは、神の啓示そのものでした。モーセは、一定の時期、神に仕えたしもべでした。一方、キリストは、永遠の神の御子でした。主イエスは、神と人との間に立つ、大祭司でした。まことの神であると同時に、まことの人でもありました。完璧な仲保者、完璧な大祭司でした。だからこそ、「イエスのことを考えなさい」(1節)と勧めているのです。
7節~19節:この個所では、過去においてイスラエルの民が圧倒的な神の御手の力により、奴隷であったエジプトの境遇から解放され、脱出して、自由の民となったにもかかわらず、荒野をさまよい、神のみこころに反逆を重ねたことを指摘しています。3章7節~4章13節の個所で、へブル人への手紙の著者は、3回にわたり、「きょう、もし御声を聞くならば・・・」と繰り返し語っています。つまり、神のみことばを聞くことがどれほど重要な事柄であるかを示そうとしています。イスラエルの民は、結局、こころを頑なにして、神を全面的に信頼することを拒否し、繰り返し、モーセに対して奇跡を要求しました。神は何度も偉大な奇跡を表しましたが、彼らはすぐに、不信仰に陥り、また、次の奇跡を求めるのでした。結局、彼らは荒野での経験から学ぶことをせず、四十年の間、奇跡を求め続け、不信仰から脱却することをしませんでした。彼らは、モーセを通して、神のみわざを見たのです。しかし、そこから学ぶことをせずに、自分たちの心の欲の命ずるままに、自分たちがあたかも主人であり、神こそ仕えるしもべであるかのように、身勝手な要求を続け、いつまでたっても、真の悔い改めには達しませんでした。そこで、主なる神をして、とうとう、怒りをもって決して彼らをわたしの安息に入らせない、という審判を下すに至らせたのでした。まさに、自分たちが蒔いた不信仰と反逆の種を刈り取ることになったのです。だから、へブル人の手紙の著者は、繰り返し、「きょう、もし御声を聞くならば、御怒りを引き起こしたときのように、心をかたくなにしてはならない。」と強く、強く、勧めているのです。
お互いに集会に集い、日々互いに励まし合って、だれも罪に惑わされてかたくなにならないようにしなさい、と勧めています。何故なら、もし最初の確信を終わりまでしっかり保ちさえすれば、約束の通り、キリストにあずかる者となるのですから。かつてのイスラエルの民は、せっかく、エジプトの奴隷の境遇から解放されて自由にされ、神の約束の土地(約束の国)に入るチャンスがあったにもかかわらず、みずからの不信仰と自我のかたくなさによって、神の約束の地、安息の地に入ることが出来なくなったのです。キリストにある者たちも、永遠の御国が約束されているのですから、不信仰によって約束の地に入ることが出来なくなるようなことがあってはならないのです。御子イエス様の御声を信じて従うのです。そうすれば、永遠の安息に入れるのですから。
恐れてはならない。主があなたとともにおられるのだから!
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