今日の個所は、アブラハムが信仰の道を歩み始めて、最初の大失敗をしたあと、再出発をする個所です。それで、約束の地に立ち返った時、最初にしたことが主のための祭壇を築くことでした。こうして、アブラハムは再出発をしました。いつまでも過去の失敗を引きずらずに、最初の信仰の原点に立ち返って出発したのです。これはとても重要なことですね。失敗を引きずって、自分の人生を台無しにしてしまう人もおられます。でも、失敗は失敗として、主に立ち返り、主のための祭壇を築き、再出発することこそ、主なる神様が私たちに求められている人生です。
さて、アブラハムには妻のサラが同行しました。これは幸いでした。しかし、甥のロトも一緒でした。これはのちのち、アブラハムに良きものをもたらす人ではなく、災いをもたらす人でした。結局、持ち物が多すぎたので、アブラハムとロトの間に、直接ではありませんが、両方のしもべたちの間に、争いが起こったのです。不思議ですね。人間は神様の祝福を呪いに変える達人のようだと前に記しましたが、ここでも、持ち物を増やして下さった神様の祝福を、ロトは、お互いの間の争いという呪いに変えてしまいました。当事者の間の両方ではなく、片方だけでも、貪欲な心(生まれつきの欲望)があると、争いが起きるということです。時には、争いを避けるために、別れて行動することも実際的な知恵のひとつですね。
経済とは、お互いの思いやり、痛みを分かち合うことが原点であると言われています。その原点を見失った経済活動は、もうけ主義に走り、貧富の差が拡大するばかりで、最後には破局を迎えます。いまの日本が、そのような道をたどっているように感じます。痛みを知り、痛みを分かちあう原点に立って、経済の活動をすることが持続可能な繁栄のありかたとして見直される時が早く来ることを願います。
アブラハムは、無欲な人でしたから、ロトに優先権を与えて、土地を選んでもらい、自分は見たところ貧しい土地に甘んじました。ロトは肥沃な緑地を選びました。家畜のためには最高の草地でした。しかし、アブラハムは、見た目ではなく、天と地の創造主である神様に信頼して、その祝福に信頼して、自分の優先権をロトに与えました。そうでないと、のちのち、また争いが起こることを予想していたからだと思います。このアブラハムの選択は、正解でした。私たちも自分にとって不利となるような解決であっても、主のみこころに沿う解決であれば、その不利に甘んじることが大切です。なぜなら、主が、その問題を直接介入して解決してくださるからです。
アブラハムが決断し、ロトが肥沃な低地を一坪も残すことなく、ことごとく、自分のものとしました。しかし、このあと、主がアブラハムに直接、語りかけられました。そして、見渡す限りの土地を、「あなたとあなたの子孫に与える。あなたの子孫を塵のように増やす」と祝福の約束を与えられました。そして、「立って、その地を縦と横に歩き回りなさい。わたしがその地を与えるのだから」と命じられました。以前の個所でも強調しましたが、あなただけでなく、あなたの子孫、子、孫、ひ孫、・・・・10代、20代、30代・・・のあとの子孫にまで祝福が及ぶのです。アブラハムの人生の中で、この土地を所有するということは実現しませんでした。一坪たりともアブラハムは所有することが出来ませんでした。しかし、それは数百年のあと、実現しました。
私たちも、まだ、手にしていない祝福を信じて歩み続けるなら、主なる神様はそれを信仰のわざとして覚えて下さり、約束をかなえてくださいます。いまは、こどもたちが小さくて、手がかかり、その苦労は並大抵のものではなくても、世代を重ねていく中で、あなたも信仰の父アブラハムのような役割を果たしたことがあとで分るのです。今は見えないのですが、天の御国で、私たちの信仰の子孫が地に拡がっている姿を見るのです。
さて、この章の最後も、「主のための祭壇を築いた」というアブラハムの行為で締めくくられています。ロトの場合は、記されていません。
きょう、私たちも神の子供たちとして、主のための祈りの祭壇を築きましょう。家庭で、職場で、学び舎で、病院で、あなたが祈るなら、そこが主への祭壇となるのです。
清宣教師
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