前の章で、アハズ王の不信仰が招いたアッシリヤの侵略でしたが、間一髪のところで主が介入して下さり、アッシリヤを退けて下さることを預言しました。今日の11章では、イスラエルにとって最も気になるダビデ王家と神の民の未来について、とくにメシヤによる驚くべき働きに関して記しています。1節~5節:メシヤである王。10章の末尾でアッシリヤは、森林に例えられましたが、ここではダビデの家が「エッサイの根株」から生じた「一本の若枝」に例えられています。根株とは、切り株の事ですから、もはや生命力が無いとみられていました。しかし、その切り株から小さな芽が出て、やがて枝になり、実を結ぶのです。「根株」ということばから、ダビデ王家がいったんは崩壊することを暗示しているようです。次に、インマヌエルの特性は、「知恵」、「悟り」、「はかりごと」、「能力」、「主を知る知識」、「主への恐れ」である、と明示しています。これらの特性は、全世界を治めるメシヤ(王)としての働きに現われます。また、彼の裁きは外面に左右されず、貧富に惑わされず、偏見なしに正義と公正に基づいて行われます。「口のむち」とか「くちびるの息」(4節)とは、メシヤ・王の判決の宣言の事を指しています。6節~9節:インマヌエルの王国。最初のアダムは創造主に反逆して、動物などの被造物の世界に一大変化をもたらしましたが、第2のアダムである「エッサイの根株からの若枝」によって、弱肉強食の被造物の世界が、最初の平和と共生の世界に回復されることを預言しています。全被造物が、アダムの反逆の罪により、虚無に服しましたが、罪の贖いの結果、滅びから回復するのです。再臨の主イエスによって、全世界が創造主を知ることになり、主のみこころが全地に及ぶからです(9節)。10節~16節:主の救いの拡大。主の救いの担い手であるイスラエルは、神の契約により特別な恩顧を受けましたが、今度は、エッサイの根株からの「インマヌエル」の主が、全世界の民に、ご自分を旗として示され、その旗印のもとに集まるようにされ、神の民に特別な恵みを与えるのです。預言者イザヤは、北イスラエル王国も、南ユダ王国も、囚われの身になることを前提にその解放を語っています(10節)。エッサイの根は、「勝利」、「平安」へと導きます(14節~16節)。
今日の聖書箇所から教えられることは、ここに預言されている、イエス・キリストの終末時代におけるお働きの約束を確信して、主にだけ信頼し、忠実な信仰生活を送ることです。
清宣教師