さて、アヒトフェルの助言は、神の言葉のようにさえ思われるほどいつも知恵に満ちたものでした(16章23 節)。アヒトフェルは今回も的確な助言をしました。それは、ダビデは、今息子の謀反により都落ちして荒野をさすらって疲れて気力を失っているはずだから、ただちに、攻撃するようにとの提案でした。しかもその家来たちではなく、ダビデひとりに絞って攻撃をするようにという内容でした。この提案は、アブシャロムと全長老たちに受け入れられました。しかし、どういうことか、アブシャロムは念のためフシャイの意見も聞くことにしました。本来なら、味方なのかも疑わしいはずのフシャイに意見を聞く必要はなかったはずです。やはり、これは、フシャイの意見も聞きたくなるように神様がアブシャロムの心を仕向けられたと思われます。そこで、フシャイは、ダビデは戦いなれている戦士であり、今も用心して他の民たちとは違う場所に隠れているに違いないという考えを披露しました。そこで、アブシャロムは、父のこれまでの戦いぶりを良く知っていたので、フシャイの指摘に同意しました。そこで、フシャイは、虚栄心の強いアブシャロムの心をくすぐるような提案をしました。それは、イスラエル中の戦士を集めて、その先頭にアブシャロムが立って、ダビデとその家来たちをすべて滅ぼすという提案でした。その結果、アヒトフェルの意見は退けられ、フシャイの意見が採用されました。これも普通なら考えられないことです。優れた助言者として信望厚いアヒトフェルの意見が退けられ、敵ダビデと親しかったフシャイの意見が採用されたのです。それは主なる神様がアヒトフェルのすぐれた計画を打ち壊そうと決めておられたからです(14節)。それは、ダビデが涙の坂道で「主よ。どうかアヒトフェルの助言を愚かなものにしてください」と切実に祈った祈りを、神は聞いてくださったのです(15章30節、31節)。こうして、アブシャロムがイスラエル中の戦士を集めている間に、フシャイは祭司たちにこの一連の出来事と、荒野で夜を明かさず前進して逃げるように伝えさせました。しかしアブシャロムにそのことが密告され、遣わされた祭司の子たちは追われますが、名も知られないバフリムに住む夫妻に助けられ、無事ダビデに伝えることができました。そしてダビデはじめ、民たちは夜明けまでに全員ヨルダン川の向こうに行くことができたのです。ここでも神は、この時のために祭司とその子たちを用い、名も分からない人たちを用いて、ダビデを守られたのです。一方、頭脳明晰な王の助言者、アヒトフェルは、自分の意見が採用されなったことを不服に思うと同時に、その結末が99%自分たちの敗北である事を予測したようです。それで、自ら死を選びます。マハナイムでは、3人の人たちがダビデとその一行の旅に必要な物を届けてくれました。荒野の旅でも、常にダビデを助け励ます人たちがいました。このように、神に愛されている者たちは、折にかなった助けと慰めを受け、人生の荒野の旅を続けていくのです。
きょうも、主が備えてくださった愛する人たちが私たちを助けてくださいます。たとえ、力のある人や優れた人たちが私たちの前に立ちふさがっても、主はあえて、この世では愚かな者と見られたり、軽んじられている人たちを用いて、主のご計画を遂行されます。
清宣教師
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