今日から、新約聖書の最後の書であるヨハネの黙示録に入ります。
さて、著者のヨハネは、イエス様の12弟子のひとり、使徒ヨハネです。紀元80年以後に、ヨハネは流刑の身であったパトモス島(1章9節参照)で、神から直接、幻を受け、聖霊の導きのもと、世の終わりの出来事をつぶさに見せられて、この黙示録を書いたものと思われます。書名の『黙示』とは、ギリシャ語で『アポカリュプシス』で、「アポ」とは、「取り除く」、「カリュプシス」とは「覆っている物」を意味します。黙示とは、覆いを取り除くことです。つまり、これまで隠されていた神のご計画が明らかにされる書物という意味です。ところで、黙示録の参考書は私の手もとにも10数冊あります。直接的な描写については、解釈の違いはないのですが、象徴で示されている記述については、それぞれの解釈がことなります。これまでの歴史において起こった出来事と黙示録の預言を対比して、預言を解釈しているわけですが、人によって解釈がことなります。私自身は、ひとつひとつの事例について判断することは難しいので、これまでの経験から、特定の解釈に偏らず、基本となる解釈を取り上げて紹介したいと思います。
まず、黙示録の基本的な枠組みですが、黙示録1章19節に記されています。「そこで、あなたの見た事、今ある事、この後に起こる事を書きしるせ。」つまり、① 見たこと、 ② 今ある事、 ③ この後に起こる事、の3つに区分されます。①は、黙示録の1章のキリストの栄光の姿、②は黙示録2章~3章のキリストの7つの教会について、③は黙示録4章~22章の終末、再臨、千年王国、新天新地について、という基本的な枠組みのもとに記されているということになります。黙示録には、多くの預言が記されていますが、実は、黙示録にだけ書かれている預言は最後の黙示録21章と22章のふたつの章だけで、黙示録1章~20章までは、旧約聖書の550か所以上の預言から来ていると言われています。旧約聖書の中でもとくに、ダニエル書の預言の内容と密接に関係しているので、ダニエル書の預言の理解も必須となっています。それでは、黙示録の全体を大雑把に眺めてみたいと思います。