最初に、この書がどのような経緯で書かれたかが記されています。これは、神からキリストへ、キリストから御使いへ、御使いからヨハネへと伝達されたものです(1節)。次に、ヨハネは、黙示録の読み方を教えています。第1に、「朗読すること」です。当時は、現代とは違い、みなが聖書を持っているわけではなく、会堂で朗読される書を聞いて理解するのが普通でした。第2に、「聞くこと」です。そして第3に、聞いたことを「心にとめること」でした。それを実行する人は、幸いです(3節)。ヨハネは、主イエス・キリストから恵みと平安があるように祈っています。平安は、アブラハム以来、イスラエル民族が日々、口にした挨拶でした。手を胸と唇と額に当てて、「シャーローム!」と言って相手を祝福するのです。私の心とことばと考えのすべてにおいて祝福するというしるしです。一方、恵み(カリス)は、イエス・キリストによる福音がもたらしたもので、新約聖書において、150回、使われています(5節)。キリストは、私たちに愛を注ぎ、罪から解放し、私たちを王国あるいは王としてくださいました。つまり、神の支配の中にすっぽりと入っている存在であることを表しています。また、私たちを祭司として、神の前で、永遠に礼拝する奉仕者としてくださいました(6節)。キリストは、約束のとおり、再臨されます(7節)。このお方は、アルファであり、オメガであるお方です。ギリシャ語のアルファベットの最初がアルファ、最後がオメガですから、最初であり、最後であるお方、あるいは、創始者であり、完成者であることを意味しています(8節)。次に、ヨハネは自分が黙示録の読者たちとは兄弟であり、キリストの苦難にあずかっている者、同信の友であると紹介しています(9節)。ここに記されている7つの教会は、地図の上では馬蹄形(Ω形)に点在し、エペソに始まり、最後がラオデキヤです。また、ヨハネの立場は、自分が見たことを書き記して伝えることであると述べています(11節)。ヨハネが最初に見たのは、7つの金の燭台でした(12節)。これらの金の燭台は、7つの教会を指していました(20節)。燭台の真ん中にキリストが立って、諸教会を統括しておられるのを見ました(13節)。さて、13節~16節では、主イエス様の御姿が描写されています。ここで注意すべき点は、「・・・のように」と記されていることです。つまり、イエス様の髪の毛は「白い羊毛」からできているのではなく、「白い羊毛のように」「白い雪のように」見えたと伝えているのです。ヨハネは注意深く、・・のように、と繰り返し述べています。ヨハネにとっては、自分の経験から記述するには、「・・のように」と記す以外になかったものと思われます。あまりにも主イエス様の御姿が明確に示されたので、ヨハネは、気を失いそうになり、その方の足元に倒れて死者のようになりました(17節)。ここに記されているお姿は、ダニエル書7章と10章に出てくる「年を経た方」や「人の子」の姿と似ています。ヨハネはダニエル書をよく知っていたと思われます。さて、人間として、生ける神の御子の前に出ることは、あまりにも恐ろしい事でした。しかし、主イエス様は、ヨハネに対して「恐れるな」と語られました。また、ご自分は、一度死んだが、いまもなお生きて働いているお方であり、死に打ち勝った証しとして死とハデスのカギを所有しておられる、とご自分のことを紹介されました(18節)。その後に「あなたの見た事、今ある事、この後に起こる事を書き記せ」と命じられました。これについては、序章で述べたとおりです。なお、7という数字が出てきますが、聖書では、7は、完全数です。ですから、7つの教会とは、全世界の教会を指していると解釈されます。つまり、黙示録に記されているキリストのメッセージは、私たちの教会へのメッセージでもあるわけです。
さあ、救いの創始者であり完成者である主イエス様を見上げよう!
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