きょうから、ヤコブの手紙に入ります。伝承によるとヤコブは、紀元後62年、石で打たれて殉教の死を遂げたと言われています。この手紙は、紀元後60年ころ、つまり、ヤコブの晩年の手紙と言われています。そして、この手紙は、実際にヤコブによってなされた説教であって、教理的、神学的というよりも、実際的、建徳的な内容となっています。1節ですが、ヤコブは主の兄弟でしたが、自分のことを「主イエス・キリストのしもべヤコブ」と告白しています。つまり、イエスを神の子として信じて、完全に変えられたヤコブであるという信仰の告白です。「国外に散っている12の部族」ということは、パレスチナの土地以外に住んでいる全世界のユダヤ人たちを指しています。さて、2節~12節です。ここでは、成熟したクリスチャンとなるための道筋があることを指摘しています。まず、試練には目的があること(4節)。試練はクリスチャンを成長させ、完全なものとするためにあります。偶然の災害とか、無意味な事柄ではなく、そこには無限の叡智をもち、将来のことをすべて見通すことができる神のご計画の中で与えられるものです。神は私たちをいたずらに、苦しみに会わせることはありません。ですから、むしろ、試練にあったら、この上もない喜びと思うように勧めています(2節)。信仰がためされるチャンスであるというのです。ためされるとは、それを通して成長するというチャンスです。そこには、主を信頼して解決を待つという忍耐が不可欠です。試練は忍耐を要求します。そして、真の信仰は忍耐を生み出します。神の器として練り上げられるのです(3節)。そのためには、この世の知恵ではなく、天からの知恵が必要です。その知恵を求める祈りが必要です(5節)。何を願うか、祈りの焦点を絞り込み、少しも疑うことなく、求める姿勢が必要です。そして、迫害の中でも信仰の人生を貫き通すとき、その報いは「いのちの冠」です(5節~12節)。13節~18節ですが、「試練」と似たものに「誘惑」があります。父なる神様の計画の中にあるのは試練です。誘惑は、サタンの計画の中にあるものです。通常は、試練と誘惑は異なります。サタンに騙されないようにしなければなりません。一般に、試練には堂々と立ち向かい、誘惑にあった場合はそこから逃げることが望ましいと言われています。さて、クリスチャンの人生にも、さまざまな誘惑があります。自分自身の中にある隠された欲望が引き出されるのです。ヤコブは、「愛する兄弟たち。だまされないようにしなさい。」と言いました。確かに、さまざまな場面で、私たちはだまされやすいのです。私たちを騙そうとする目に見えない敵がいるのです。上からの知恵と祈りが必要です。『騙されないように』、この点に留意する時、クリスチャンとしての成長の大きなステップとなります。19節~27節ですが、成熟したクリスチャンへのステップです。まずは、神の言葉を受け入れることです。しかし、間違ってはならないことがあります。「人の怒りは、神の義を実現するものではありません」。みことばを聞いて、他人に当てはめて、怒ったとしても、それは神の義を実現するものではありません。次に、神のみことばを実行することです。案外、私たちは聞くことで満足してしまう傾向があります。そうではなく、実行することです。自分の生まれつきの顔を鏡で見ても、鏡の前から立ち去ると自分の生まれつきの顔を忘れてしまいます。そのように、御言葉を聞いて、自分の生まれつきの汚れを指摘されても、御言葉の鏡から離れると、自分の汚れを忘れ、自己満足の生活を続けることになります。みことばを忘れずに、聖くなれ、とのみことばを実行する人になることです。自分自身の妬みや傷のゆえに、言いたい放題のことをいう兄弟姉妹がいます。しかし、ヤコブは、それは自分の心を欺いていることだと言います。みことばを分かち合い、実践するとは、宗教に熱心になることではありません。兄弟姉妹ひとりひとりを大切にすることです。清宣教師
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