今日の21章ですが、1節の「海の荒野」とは、何処の国なのか、という疑問をいだかれたと思います。9節を見ると、バビロンに対する宣告であることが分ります。おそらく、バビロンは、チグリス・ユーフラテス川の両方の河の流域にあったので、湿地や沼沢地が多く、それを海の荒野とか、海辺の土地と呼ぶようになったと思われます。1節から10節は、バビロンに対する宣告です。イザヤは、主からの幻を見せられているので、あたかもその現場にいるかのような感覚をもって宣言しています。「それゆえ、私の腰は苦痛で満ちた。」と記しています。バビロンの壊滅を幻で見ながら、イザヤが恐怖と激痛に見舞われるほどに、バビロンの滅びは、真の神を知らないゆえの結末であり、イザヤはそのことに深い悲しみを覚えたのかもしれません。8節の冒頭の「獅子が叫んだ」は、死海写本の発見に伴い、これを「獅子」ではなく、「見張り」と訳すことが多いようです。なお、「踏みにじられた私の民・・・・」という10節の表現は、主がバビロンに対して裁きを行われたゆえに、ユダの民はバビロン捕囚から解放されることを告げてはいますが、その前に、「踏みにじられた私の民」とか、「打ち場の私の子らよ」という表現を通して、バビロンにおける厳しい裁きがユダの民の上に注がれることを示しています。
11節と12節は、「ドマ」に対する宣告です。ドマという地名に関しては、ふたつの説があります。ひとつは、北アラビヤにある「ドウマ・アル・ヤンダル」とする説です。もうひとつは、「ドマ」の意味が「沈黙」を意味することから、「エドム」との語呂合わせもあり、エドム(セイル)ではないかという説です。ここは単純なようで、多様な解釈が可能な個所です。「朝が来。また夜も来る。尋ねたければ尋ねよ。もう一度、来るが良い」(12節)とは、「朝が間もなく来るが、その後にまた夜がやってくる」あるいは「ある者には朝が、他の者には夜が臨む」あるいは「朝が来ても夜のようである」などと解釈されます。また、「もう一度、来るが良い」は、「帰れ。来たれ。」あるいは「悔い改めて帰って来い」などと訳されます。夜明けを迎えられないドマに対して、主は帰れ、と宣言されているのです。
13節から17節は、「アラビヤ」への宣告です。エドムの東に拡がるアラビヤは、古来からイスラエルと様々な交渉がありました。広大なアラビヤ半島のうちの中央部から北西部を指していると思われます。デダン人の隊商は、おそらく、アッシリアかバビロン軍に追われて避難してきて、道路から離れた茂みの中に身をひそめていたようです。テマは、隊商たちにとって重要なオアシスの町であったので、彼らを救援するように命じられています(14節)。一方、勇猛で知られているケダル人も、1年以内に侵略者によって敗北するさまが宣告されています。そして、これは万軍の主、イスラエルの神が告げられたゆえに、確実に起こる事を宣言しています。
現在の世界の情勢も、不確実で、不安定で、揺れ動いています。主は目に見える国々ではなく、目に見えない全能の主に、全幅の信頼を置くように勧めています。「というのは、すべてのことが、神から発し、神によって成り、神に至るからです。」(ローマ人への手紙、11章36節参照)。
清宣教師
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