今日から、サムエル記に入ります。ギリシャ語訳の聖書、70人訳聖書においては、サムエル記と列王記とはひとまとまりになっていて、「王国の第1」~「王国の第4」となっており、サムエル記は「王国の第1」と「王国の第2」に該当し、列王記は「王国の第3」と「王国の第4」に該当します。というわけで、新改訳聖書では、サムエル記と列王記を、「サムエル記第1」、「サムエル記第2」、「列王記第1」、「列王記第2」と分けていますが、もともとは、ひとつのまとまりです。
「サムエル」とは、ヘブル語で、「神の名」という意味です。サムエルはエフライムに住むレビ部族のケハテ族の子孫として誕生しました(歴代誌、第1、6章22節~38節)。サムエルの誕生の背後には、母ハンナの涙の祈りがありました。エルカナには二人の妻がいました。ハンナとペニンナでした。二人の妻がいるということは、妻の間に避けられない葛藤が生じるということです。ペニンナにはこどもがおり、ハンナには子供がいませんでした。エルカナはハンナを愛しておりました。ハンナは、ペニンナの嫌がらせをうけて、食事も喉を通らず、食事の意欲も失せていました。ハンナはどうしようもない苦しみの中で、その悩みを主の前にもっていきました。主の前で長い祈りを捧げました(12節)。それを祭司に見とがめられて、「いつまで酔っているのか」と叱責されました(14節)。さいわい、ハンナの説明によって祭司の誤解は解けて、祝福にあずかることができました(16節、17節)。
私たちも、イエス様に愛されてはいますが、サタンの妬みによって、ねちねちと苦しめられ、兄弟姉妹から誤解されることもあります。そして、言いようのない苦悩の中で、祈りに導かれます。「祈りに導くものはすべて良し」ということばは、確かにその通りです。主は意地悪な方ではありません。私たちのために、いのちを捨てて、罪を贖って下さり、私たちに、神の子としての身分を回復して下さったお方です。主の御計画に間違いはありません。主が許されているのなら、それは、私たちの益のためです。苦悩が私たちを祈りに導く時、主の素晴らしい計画が成就します。
ハンナは、祭司から祝福のことばをいただいたとき、主の回答を信じました。そして、その瞬間から、ハンナの心は変わりました。その顔は、もはや以前のようではありませんでした。食事もおいしくいただくようになりました。そして、みごもり、元気な男の赤ちゃんを出産したのです。私たちも、主の御計画を知り、主は必ず御計画を成し遂げて下さるお方であると信じる時、心も表情も変わります。主が祈りを聞いて下さったと確信したからです。
私たちがいつまでも、うじうじ、悲しみの中にあるのは、主が祈りを聞いて下さったという確信まで至っていないからです。そこに、疑いや不確かさが残っているからです。私たちの内側から、不確かさや疑いの割れ目がないかどうか、点検しましょう。そこから喜びが漏れてしまうのです。ハンナのように、確かな信仰をもって主の約束を受け留める時、喜びに満たされます。
主がなしてくださったこと、私たちを罪から贖い救い出して下さったこと、そして、今もなお、私たちを愛し、導き、守って下さっていることを思い起こしましょう。主は生きておられます。だから、かならず、今の苦悩から救い出してくださいます。ハンナのように、祝福をいただく時が近づいています。第1に、主に信頼しましょう、第2に、主を賛美しましょう、第3に、主のみわざをみましょう。主の霊が確信を与えて下さいますように。
清宣教師
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