これまでのロトの行動を振り返ってみますと、アブラムと共に、故郷を出発して、カナンの地に入りました。そして、アブラムの家畜の牧者とロトの家畜の牧者との間の紛争が起こったことをきっかけに、アブラムと別れました。そのとき、アブラムの好意で、ロトは緑の肥沃な低地全体をえらびとりました。その後、ロトは、ソドムの近くに天幕を張るようになりました(創世記13章12節)。さらに、時がたつと、ロトはソドムの町の中に住むようになりました(14章12節)。しかし、ケドルラオメルの連合軍が、ソドムを襲った時、ロトは全財産と共に、捕虜として、連れ去られました。しかし、アブラムが敵を追撃して、ロトたちの全財産を奪い返し、ロトたちの家族のいのちも救ってくれました。これは考えようによっては、ロトの家族が、ソドムを離れる絶好のチャンスでした。しかし、ロトと家族は、そのチャンスを逃し、ソドムに住み続けました。そして、この19章の出来事です。1節でロトがソドムの町の門のところに座っていたということは、ロトが、ソドムの町の長老のような役割を果たしていたことを意味します。当時、町の門には、長老たちが座り、行政や裁判を司っていたことが知られているからです。そういう意味では、ロトは、ソドムの町にどっぷり、根を下ろしていたことになります。その結果、ソドムの文化が、ロトの妻や娘や娘の婿たちの価値観に非常に強い影響を与えました。その結果、アブラハムの熱心な執り成しにもかかわらず。ロトと未婚の二人の娘だけが、ソドムの滅亡の中から救われたのです。ロトは二人の御使いを見るなり、顔を地につけて伏し拝みました。そして、足を洗って、ロトの家に、お泊り下さい、としきりに勧めました。そして、御使いも、それを聞き入れたので、ロトは御馳走を作って、ふたりをもてなしました。夜も更けて、そろそろ眠りにつこうとするとき、ドン、ドン、ドン、と激しく戸を叩く音がしました。町中のならず者、しかも、若いものから年寄りまで、「二人の男を出せ、彼らを知りたい(性的な意味で)」と叫んだのです。同性愛が蔓延し、倒錯した欲望を満たすことがソドムの人たちの生き方でした。ロトは、それに対して、「自分の未婚の娘を好きなようにしてよいから、あの人たちだけには手を出さないでくれ」といって説得しようとしました。しかし、町の男たちは納得しませんでした。それで、彼らは戸を破って家に入ろうとしました。そのとき、二人の御使いが出て行って、みなに目つぶしを食らわせて、事態を収拾しました。御使いたちは、ロトに身内の者を連れて、ソドムを脱出するように勧めました。しかし、ロトの話を聞いた婿たちには冗談のように思われたので、娘たちも、子供たちもソドムに留まることになりました。そこで、16節、御使いは、それでも、ためらっている、ロトと妻の手をとり、もう一人の御使いは、二人の娘たちの手をとり、連れ出して町の外に置きました。なんという主の憐れみでしょう!そして、「いのちがけで逃げなさい。うしろを振り返ってはならない。山に逃げなさい。」と厳しく命じました。しかし、ロトは、「あそこの小さな町は、逃れるのに近いです。あんな小さな町です。・・・」と御使いに言い返しました。それで、御使いはそのことをも聞き入れました。ロトが主張した「あんな小さな町です」というところに、ロトの罪に対する認識があらわれているように思われます。つねに罪と妥協してきたロトの生き方が表れているようです。そして、ロトの妻は、ソドムに残してきたものが気になったのでしょう。振り返ってしまいました。そして、塩の柱になってしまいました。この世に対する執着心や未練がある限り、その人にとっては救いが救いではなくなってしまいます。私たちも、この世に根を張ってしまうと、救われるよりも、この世と共に滅んだ方がよいという間違った感覚に陥ってしまうように思います。30節~38節です。ロトの娘たちは、子を産むために、父親と寝てしまいます。そして、そのふたりの娘から、モアブとアモンが生れました。のちのち、彼らは、アブラハムの子孫であるイスラエル民族に敵対する民となりました。今日、私たちは、ロトを反面教師として、多くのことを学ぶことが出来ます。この世に根を張るのではなく、御国の一員として、キリストのうちに、深く根をおろしましょう。きょうも、主が聖霊様を通して、私たちを導いて下さいますように。清宣教師
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