当時、とくに子供たちは数にも入れられず、軽視される風潮がありました。だからこそ、イエス様は、小さな者たちが救いから漏れることがないように、躓きを与えたりすることがないように、弟子たちに警告されました。イエス様の弟子となることによって、何か偉くなったような、特権意識のようなものが芽生えてきていたようです。誰が偉いかなどと言って議論していたのですから、このような警告が必要であったのだと思われます。次に、私たちにとってぜひ、イエス様に聞きたい質問が紹介されています。5節です。「私たちの信仰を増してください」。ところが、弟子たちの願いに対して、「しかし」と主は言われました。「もしあなたがたに、からし種ほどの信仰があったなら、この桑の木に、「根こそぎ海の中に植われ」と言えば、言いつけどおりになるのです。どういう意味でしょうか? からし種は1㎜ほどの小さな種と言われます。私たちの鼻の息で吹っ飛んでしまうような小さな種です。信仰の大きさが問題になるよりも、あるかないかを問題にしているように思われます。自分自身の信仰の大きさによるのではなく、主がなしてくださるという信仰があるかないかが、カギであるということです。からし種ほどの信仰でも、つまり、どんなに小さな信仰であっても、信仰があれば、不可能が可能となるのです。そして、そのからし種ほどの信仰を得るための秘訣は、日常の生活に秘められています。イエス様は言われました。「あなたがたの誰かに、耕作か羊飼いをするしもべがいるとして、そのしもべが野らから帰ってきたとき『さあ、さあ、ここに来て、食事をしなさい』としもべに言うでしょうか・・・・。自分に言いつけられたことをみな、してしまったら、『私たちは役に立たないしもべです。なすべきことをしただけす』と言いなさい。」。日常の生活の中で、このような生き方を身に付けることが、からし種ほどの信仰をもつための秘訣です。誰かの評価を気にすることなく、ともかく、主が委ねてくださった課題を淡々と果たして、主に対して「私たちは役に立たないしもべです。なすべきことをしたに過ぎません」と告白することです。このような生活の積み重ねが、私たちの中に、からし種ほどの信仰を生み出すのだと思われます。
さて、次に、十人のツァラアトに冒された人々の中で、イエス様のまえに癒されたことを感謝するために引き返してきたのは一人だけでした。しかも、それは思いがけず、ユダヤ人ではなく外国人であったというのです。案外、クリスチャンになって時間がたつと、神様の恵みに慣れっこになって感謝の生活を忘れていることがあるように思います。その点、信者になって間もなくのころのほうが、主に対して、大きな感動と感謝をもって賛美していたように思います。同様に、クリスチャンとして奉仕に疲れたとしても、「ふつつかなしもべです。なすべきことをしたに過ぎません」という初心を忘れるべからずですね。さて、パリサイ人たちが、「神の国はいつ来るのか」とイエス様に質問しました。つまり、神の国は、まだ来ていないではないか、という質問のようです。すると。イエス様はすでに「神の国は、あなたがたのただ中にある」と答えられました。つまり、イエス様がおられるところ、そこに神の国が始まっているのです。また、その神の国が完全なかたちで姿を現すのは、イエス様が再臨される世の終わりの時であることを明らかにされました。それで、イエス様は、世の終わりの前兆について語られました。それは、ちょうど、全世界が大洪水で滅ぼされたノアの時代のようであり、人々は食べたり、飲んだりして、神の警告に対して無頓着でした。そして箱舟に乗ることをしなかったので、大洪水によって滅んでしまいました。同じように、この世の終わりの人たちも、神からの警告に対して無頓着で、食べたり、飲んだりしているときに、主が再臨されるというのです。そのとき、目を覚ましていて主を迎えるなら、主のもとに携え上げられるのです。最後に謎めいたことばが語られていますが、注解者によれば、ハゲタカは裁きの象徴であり、霊的に死んだ者たちがいるところには、必ず審判があることを意味しているのだと解釈しています。ともに世の終わりに備えて、からし種の信仰が与えられるように、お互いに祈りましょう。
主の御霊は、私たちのうちに豊かな御霊の実を結ばせてくださいます!
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